早水台遺跡

早水台遺跡（そうずだいいせき）

早水台遺跡は、大分県速見郡日出町川崎に位置する、旧石器時代から縄文時代早期にかけての複合遺跡です。別府湾を見下ろす河岸段丘上に位置しています。

概要

縄文時代早期の遺跡としては、早水台式土器の出土地として知られています。早水台式土器は細かい目の押型文様が特徴で、西日本における縄文時代早期の標式土器とされています。他遺跡から出土した同型土器の放射性炭素年代測定では、約8200年前のものと推定されています。

旧石器時代の遺跡としては、1950年代に東北大学の芹沢長介らによって5次にわたる発掘調査が行われました。その結果、下層から石英製の石器が発見され、当初は10万年以上前の前期旧石器時代のものとして注目を集めました。しかし、その後の研究により、日本には前期から中期旧石器時代の確実な遺跡は存在しないという見解が一般的となっています。最近の研究では、この「石英製旧石器」は層位学的に、九重第一テフラが降下した約4万年前以降に位置づけられる可能性が高いとされています。

遺跡の変遷

大分県は1958年に、その学術的な重要性から早水台遺跡を県の史跡に指定しました。しかし、1963年に土地所有者から農地構造改善事業として遺跡範囲を蜜柑園に造成したいという要望があり、県は1964年2月に緊急発掘調査（第5次調査）を実施した後、1965年3月に史跡指定を解除しました。これにより、遺跡の3分の2が蜜柑園となり消失しました。

1963年以降は大分県教育委員会によって度々発掘調査が行われ、縄文時代の竪穴建物も検出されています。

1964年2月の発掘調査で芹沢長介は、地下約3メートルにある安山岩角礫層（5層）から出土した石英脈岩製の石器に注目しました。この調査（第5次）では、3層上部から後期旧石器時代の石刃、石刃核、局部磨製石斧などが出土しています。

2001年には、東北大学総合学術博物館によって37年ぶりに第6次調査が行われました。同年に第7次、翌2002年に第8次調査も行われ、1964年の第5次調査で芹沢長介が検出した「石英製石器」の出土層が確認されました。この一連の調査で2～4センチメートル大のスクレイパー類が多数出土し、遺跡下層の石器群は、チョッパー、チョッピング・トゥール、プロト・ハンドアックスといった大型石器とともに、小型の石器が主体を占めていることが判明しました。また、安山岩角礫層（5層）のすぐ上から九重第一軽石（Kj-P1、約5万年前）に由来する火山ガラスが検出され、地質学的な年代の下限が把握されました。この結果を踏まえた過去の調査の検証が期待されています。

参考文献

佐藤暁「「早水台遺跡とその文化」覚書」『大分縣地方史』No.42 大分県地方史研究会 1966年9月 p.1-27（BUNGO 別府大学地域連携プログラム）
松藤和人『日本列島人類史の起源 -「旧石器の狩人」たちの挑戦と葛藤-』雄山閣 2014年 ISBN 978-4-639-02313-5 C0021

関連項目

丹生遺跡
日本の旧石器時代

外部リンク

* 早水台遺跡（HIJINAVI 日出町観光情報公式サイト）

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