速見郡

速見郡の概要

速見郡（はやみぐん）は、大分県豊後地方に位置する行政区画であり、2024年10月1日の推計によれば、人口は27,224人、面積は73.26平方キロメートルです。この郡には日出町（ひじまち）が含まれています。速見郡の人口密度は372人/km²となっています。

郡域の形成と歴史

速見郡の成立は1878年（明治11年）に遡り、この時から現在の郡域が確立しました。当初は、日出町の他に、別府市、杵築市、由布市、宇佐市の一部地域も含まれていました。特に、別府市の大部分、杵築市の多くの地域、そして由布市や宇佐市の特定の部分が速見郡の範囲にあたります。

古代においては、速見郡は『豊後国風土記』に記載されており、740年頃にはその存在が確認されました。この書物によると、景行天皇がこの地を訪れた際、女王の速津媛に迎えられたことにより、この地域は速津媛國と名付けられたとされています。その後、速津媛の名前が速見郡に変遷しました。

また、771年に創祀されたとされる火男火売神社は、速見郡の重要な歴史的な神社の一つであり、鶴見岳の二つの山頂に祀られています。

自然と温泉

古代から続くこの地域の名所として、鶴見岳の山麓にある温泉地があります。鶴見岳は活発な火山活動により、荒地や湿地が広がっていましたが、その中には温泉の源泉も存在していました。『万葉集』や『豊後国風土記』には、かつての温泉にまつわる記載が残されています。特に、柴石温泉の「赤湯の泉」や鉄輪温泉の地獄地帯に関する情報が魅力的です。

神話によれば、大国主命が鶴見山麓から湧く「速見の湯」を道後温泉に導いたという伝説も残っています。このように、速見郡は湯治や観光の拠点としての歴史も有しています。

郡制成立と地域の変遷

明治初年の時点では、速見郡は1町123村に分かれており、1868年に日田県の管轄に移行しました。その後、1878年に郡区町村編制法により、速見郡は正式に設立され、郡役所が日出村に設置されました。これに伴い、地域の行政区画が整理され、各町村が新たに発足していきました。

その後も数十年間にわたり、合併や町制施行が行われ、現代の速見郡の姿が形成されていきました。特に、昭和に入ってからは、別府市への編入や町村の合併が進められ、郡としての組織が変化していきました。

近代の変革

大正期には郡会が廃止され、郡役所は存続しましたが、地域の発展に伴い、次第にその役割も変化していきました。最終的には、昭和26年（1951年）に郡役所が廃止され、現在は地域の名称としての「速見郡」のみが残っています。一方で、日出町はこの地域における代表的な町として、今なお多くの人々に愛されています。

このように、速見郡は古代から続く豊かな歴史と自然、そして温泉文化に富んだ地域であり、地域の発展とともに、その名前が受け継がれています。

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