早水満尭

早水藤左衛門満尭：赤穂浪士四十七士の弓の名手

早水満尭（はやみみつたか）は、江戸時代前期、寛文4年（1664年）に備前国岡山藩士山口家の子として生まれました。兄が家督を継いだため、元禄元年（1688年）、赤穂藩士・早水満輝の婿養子となり、赤穂藩に仕えました。

満尭は馬廻役として200石の禄高を受け、養父の隠居後は150石を相続しました。元禄14年（1701年）3月14日、主君浅野長矩が吉良上野介に刃傷に及んだ際には江戸にいました。その後、萱野重実とともに、浅野長広への書状を携え、赤穂へ事件の第一報を届ける急使を務めました。

赤穂城に戻った満尭は大石良雄を支持し、赤穂城開城後には大石良雄への忠誠を誓う誓約書を提出。その後、赤穂、京都を経て、元禄15年（1702年）10月、大石良雄と共に江戸へ下向し、大石と同居しました。 この時期には、兄に金銭を無心しており、経済的な苦境にあったと推測されます。

元禄16年（1703年）12月14日、満尭は吉良邸討ち入りにおいて表門隊に所属し、弓矢で活躍しました。星野茂則に師事した弓の名手として知られ、その高い命中率は吉良家家臣たちを震え上がらせたと言われています。討ち入り後、熊本藩に預けられ、同月4日、細川家家臣の介錯によって切腹、40年の生涯を閉じました。浅野長矩と同じく、泉岳寺に葬られています。

満尭の生涯は、浅野家への忠義と、弓の名手としての卓越した技量、そして切腹による潔い最期によって象徴されています。赤穂事件において重要な役割を担った一人として、後世に名を残すこととなりました。

詳細

生誕: 寛文4年（1664年） 備前国岡山藩
没: 元禄16年2月4日（1703年3月20日）
通称: 藤左衛門
家系: 山口家（備前国岡山藩士）の三男。兄は山口和夷。
養子縁組: 元禄元年（1688年）、赤穂藩士早水満輝の婿養子となる。
禄高: 200石（養子縁組時）、150石（家督相続後）
赤穂事件における役割: 浅野長矩殿中刃傷事件の第一報を赤穂へ伝える急使。大石良雄派として討ち入りに参加。表門隊で弓矢を務める。
武芸: 弓の名手。星野茂則に師事。
最期: 吉良邸討ち入り後、熊本藩に預けられ、切腹。泉岳寺に葬られる。
法名: 刃破了剣信士

考証

いくつかの史料や伝承では、満尭の出自や行動について異なる記述が見られます。例えば、講談などでは、元岡山町人の茶屋四郎右衛門で山賊を殺害した過去を持つ人物として描かれています。これらの記述は必ずしも史実と一致するとは限らないため、注意が必要です。 また、「早水」という名字を持つ一族が全て血縁関係にあるという説も存在しますが、確証を得るにはさらなる研究が必要です。

関連事項

赤穂藩
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