旭タンカー

旭タンカー株式会社

旭タンカー株式会社は、石油やケミカル製品といった液体貨物の海上輸送を主たる事業とする日本の海運企業です。商船三井グループの一員として、主にアジア地域を中心にその営業網を広げています。

沿革

同社の歴史は、1951年（昭和26年）3月に山口県下関市で資本金100万円をもって設立されたことから始まります。同年12月には大阪商船（現在の商船三井）からの資本参加を受け入れ、今日のグループ体制の礎を築きました。設立間もない1952年（昭和27年）には早くも東京支店を開設し、同年8月には大阪出張所を設置するなど、国内での事業基盤を着実に固めていきました。その後も1960年代にかけて徳山、広島、名古屋に出張所を開設し、国内の主要港におけるサービス体制を拡充。1961年（昭和36年）には本社機能を大阪市に移転し、下関には新たに支店を設けるなど、組織体制を再編しました。

事業の多角化や体制強化も並行して進められました。1969年（昭和44年）には鶴崎油槽船株式会社への資本参加や、東京都での旭陽タンカー株式会社設立を行いました。1970年代に入ると、1972年（昭和47年）に西日本マリンサービス株式会社を設立、1974年（昭和49年）にはパナマにSOLAR SHIPPING AND TRADING S.A.を設立するなど、国内外での関連事業や海外展開の足がかりを築きました。1975年（昭和50年）には内航の大型タンカー「あさひ丸」（37282 DWT）が竣工し、船隊規模の拡大を図りました。

海外市場への本格的な展開は1970年代後半から加速します。1977年（昭和52年）にサウジアラビア、翌1978年（昭和53年）にはシンガポールにそれぞれ駐在員事務所を開設し、中東およびアジアの主要拠点に進出しました。1979年（昭和54年）には本社を東京都へ移転し、経営の中枢機能を首都に集約しました。1980年代には代表取締役の交代があり、事業体制を刷新。1986年（昭和61年）には商船三井との合弁会社「JAIMA」を設立し、アラブ首長国連邦（UAE）でのバンカーサプライ業務を開始するなど、商船三井グループとの連携を深めつつ、新たな事業領域へ進出しました。1988年（昭和63年）には外航の大型タンカー「あけぼの丸」（39799 DWT）が竣工し、外航船隊も強化されました。

1990年代以降は、国際的な展開と品質・環境への配慮を一層重視するようになります。1990年（平成2年）にはシンガポールにASAHI SHAMROCKS（S）PTE LTD.を設立し、ソウル事務所を開設。1992年（平成4年）には香港、ニューヨークに事務所を開設するなど、北米や東アジアの重要拠点にもネットワークを広げました。同年には外航船「あかつき丸」（39,796 DWT）も竣工。1995年（平成7年）にはSOLAR SHIPPINGが日本船社の海外法人として初のISM適合証書を取得し、国際的な安全運航基準への適合を示しました。1998年（平成10年）には商船三井とMRプロダクト船のプール運航を開始するなど、グループ内での連携を強化。同年6月には外航大型船「あさしお丸」（46986 DWT）が竣工すると同時に、内航タンカー会社として初めてISO 9002（石油・ケミカル製品輸送）認証を取得し、品質管理体制を確立しました。2000年（平成12年）には日本船社の法人として初めてISO 14001認証を取得し、環境保全への取り組みにおいても先駆的な役割を果たしました。

2000年代も事業拡大と効率化が進められました。2003年（平成15年）には外航船舶管理会社のソーラージャパン、内航船舶管理会社のアムテックを設立し、船舶管理体制を専門化。2004年（平成16年）には宗像海運株式会社と事業統合し、内航事業の基盤を強化しました。同年以降、上海、ロンドン、ジャカルタなど、アジアやヨーロッパの主要都市にも事務所を開設し、グローバルな活動範囲を拡大しました。2008年（平成20年）にはアムテックとソーラージャパンを合併し、内外航一貫の船舶管理会社である旭マリン株式会社として体制を再編しました。

近年の動向としては、大型船の建造が続き、2013年（平成25年）には158,000 DWTクラスの大型船「AST SUNSHINE」が竣工しました。2015年（平成27年）には旭マリンを吸収合併し、本社内に船舶管理機能を統合。そして、環境負荷低減と次世代技術への対応として特筆されるのは、2022年（令和4年）3月に竣工した次世代内航電気推進タンカー船「あさひ」です。この船は、内外装デザインを川西康之氏が手掛けるなど、デザイン性も兼ね備えています。

所属船

旭タンカーは、10万トンクラスの外航大型船から200トンクラスの内航小型船まで、多様なニーズに対応する幅広い船隊を運航しています。主な大型船舶には、以下の船が含まれます。

AST SUNSHINE（158,000 DWT）
AKATSUKI MARU（45,955 DWT）
* AKAMA（45,955 DWT）

同社は設立以来、国内外のエネルギー・化学品輸送を支える重要な役割を担い、技術革新と環境対応にも積極的に取り組んでいます。

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