旭堂南海

旭堂 南海（きょくどう なんかい）

「旭堂 南海」は講談師の名跡であり、初代は後に三代目旭堂南陵を襲名した人物です。本項では、この名跡の二代目を継いだ現在の旭堂南海氏について解説します。

二代目 旭堂南海氏は、1964年（昭和39年）4月20日に兵庫県加古川市志方町で生まれました。本名を内海 浩明といい、上方講談師として「なみはや講談協会」に所属しています。

略歴

加古川市内の小中学校、そして加古川東高校を卒業後、大阪大学文学部へ進学。大学では日本文学、特に近世文学を専門に学びました。学生時代から大衆芸能への強い興味を持ち、落語、浪曲に触れた後に講談の世界に行き着きます。1988年、三代目旭堂南陵に弟子入りしました。

主な活動と受賞

講談師としての活動を本格化させた南海氏は、その実力が認められ、1996年に大阪府芸術劇場奨励新人賞を受賞します。翌1997年からは大阪市谷町で自身の定例公演「南海の何回続く会？」をスタート。この会は毎月第4火曜日に開催され、現在も継続されており、2007年には10周年を迎えました。長年にわたる地道な活動は氏の講談の原点とも言えるでしょう。

1998年には大阪市より「咲くやこの花賞」を受賞。上方講談の中堅として確固たる地位を築きました。2004年には生活拠点を東大阪市から大阪市天王寺区に移しています。2009年には故郷である加古川市の観光大使に任命され、地域の魅力を発信する役割も担いました。そして、令和6年度（2024年度）には大阪文化祭賞（第2部門：現代演劇・大衆芸能）を受賞するなど、その功績が高く評価されています。

活動の広がり

「南海の何回続く会？」に加え、南海氏は各地の定席や特別公演にほぼ毎月出演し、精力的に高座を務めています。メディアへの露出もあり、過去には奈良テレビ放送の番組「ざっくばらん」にレギュラー出演（2006年3月まで）したほか、ラジオ関西の番組「新播磨風土記」（毎月第4月曜日）や「谷五郎のOH!ハッピーモーニング」にレギュラー出演（火曜日担当2006年3月まで、木曜日担当2004年3月まで）していました。

また、複数の著書も発表しています。いずれも共著として参加しており、2006年には『勝手に関西世界遺産』（朝日新聞社）、2009年には『水都大阪盛衰記』（ブレーンセンター）といった、関西の歴史や文化をテーマにした書籍を手がけています。

人物像

講談師としての一面だけでなく、趣味嗜好も多彩です。洋酒や高麗酒を除く様々なお酒やタバコを嗜むとされています。好きな食べ物は和食。趣味は「物を覚えること」であり、特技は「物を忘れること」と語るなど、茶目っ気のある一面も覗かせます。

高座名「南海」は、師匠である三代目旭堂南陵がかつて前座名として使用していた由緒ある名前を受け継いだものであり、氏が二代目となります。高校時代に落語研究会に所属していた経験から、落語家とも親交があり、特に桂文枝一門とは深い関わりを持っています。五代目桂文枝の半生を描いた講談を高座にかけたこともあり、文枝一門会にゲストとして招かれたこともあります。

大阪大学で学んだ知識と、大衆芸能への情熱を融合させ、独自の講談世界を築き上げてきた旭堂南海氏。長年にわたり第一線で活躍し、上方講談の魅力を伝え続けています。今後のさらなる活躍が期待される講談師です。

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