昇曙夢

昇 曙夢について

昇 曙夢（のぼり しょむ、1878年7月17日 - 1958年11月22日）は、日本のロシア文学者として知られ、彼の生涯は学問と地域への貢献で彩られています。彼は正教会の信徒でもあり、特にニコライ・カサートキンの弟子として知られています。また、晩年には奄美群島の本土復帰運動に尽力したことで、地域の人々から感謝され続けています。

略歴

昇は奄美群島の加計呂麻島に生まれ、島内の小学校を卒業後、鹿児島に渡ります。そこで洗礼を受けた後、1895年に上京し、翌年には東京の正教神学校に入学しました。1903年にこの学校を卒業し、卒業式には『露国文豪 ゴーゴリ』という評伝を出版し、文学界に名前を知られるようになりました。

その後、彼は正教神学校の講師として心理学や論理学を教え、1905年には大阪朝日新聞でロシア事情を担当しました。さらに日露戦争中には、ロシア語を習得した彼は、収容所にいるロシア人捕虜を慰問する活動にも従事しました。

昇はまた、翻訳や論文執筆を通じて日本の文壇に影響を与え、数多くの著書を残しました。彼は1912年に陸軍中央幼年学校教授に就任し、その後、早稲田大学や陸軍士官学校で教壇に立ちました。1923年には革命後のロシアを視察し、1928年にはトルストイ誕生百年祭に国賓として招待されました。

昇の業績は教育にとどまらず、ロシアの新興教会の事情を日本に紹介するなど、文化交流の促進にも力を注ぎました。1932年に退官後は日本大学の講師や雑誌『正教時報』の主筆として活動し、1940年には東京奄美文化協会の初代会長に就任しました。1946年にはニコライ・ロシヤ語学院の学院長に任命されています。1956年には『ロシア・ソヴェト文学史』によって日本芸術院賞と読売文学賞を受賞しています。

奄美群島への影響

彼は晩年に故郷の奄美群島がアメリカの支配下にある状況を憂い、本土復帰運動に参加しました。この活動の傍ら、彼は若い頃から収集していた資料を基に『大奄美史』という歴史書を編纂しました。彼の業績が評価され、生家跡には胸像と顕彰碑が立てられています。

また、1948年には古希を祝う会の中で、ロシア文学者組合からワルワーラ・ブブノワによる肖像画も贈られました。彼の長女である須美子は洋画家として活動し、板倉鼎の妻でもありました。

著書と翻訳

昇は多くの著書や翻訳を手がけ、ロシア文学についての知識を日本に広めることに貢献しました。彼の著作には『露國文豪ゴーゴリ』や『露西亜文学研究』、トルストイやドストエーフスキイに関する研究など、数多くの重要な作品が含まれています。

彼の功績は文業と訳業にとどまらず、今後さらなる本格的な評伝や研究が待たれる重要な人物です。昇曙夢の業績は、彼の生涯にわたる学問の探求と地域への愛情を物語っています。彼の残した作品は、今でも多くの人々に影響を与え続けており、これからの研究においても重要な指針となるでしょう。

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