昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ-

昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ-

プロ野球セントラル・リーグに加盟する中日ドラゴンズにとって、「昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ-」（しょうりゅう いざゆけドラゴンズ）は、球団名が「ドラゴンズ」となって以降では3代目、全体としては4代目に当たる公式球団歌です。作詞は中日ドラゴンズ応援団、作曲は音楽ユニットnobodyknows+のDJ MITSU氏が手掛け、俳優・歌手の松平健氏の歌唱により、2015年3月21日に$TAX RECORDSからシングルとしてリリースされました。日本プロ野球機構（NPB）に加盟する現存12球団の球団歌としては、制定時期が最も新しいものとして知られています。

この楽曲が制作されることになった背景には、2015年のシーズン開幕を前に、翌2016年に控えていた球団創立80周年という記念すべき節目を祝う意図に加え、試合に勝利した際にファンが一体となって歌い、喜びを分かち合えるような応援歌が存在しなかったという事情がありました。これにより、1978年に制定された前球団歌「勝利の叫び」に代わる新たなシンボルソングとして、本楽曲が企画・制作される運びとなったのです。

歌唱者には、愛知県豊橋市出身でドラゴンズにも深いゆかりのある松平健氏が選ばれました。ナゴヤドームで行われた楽曲発表の記者会見で、松平氏は「私よりも人気のある若手の方々がいらっしゃる中で、恐縮ながら歌わせていただくことになりました」と謙虚な姿勢を見せつつも、「近年、ドラゴンズは少し元気がありません。ぜひとも優勝を目指して頑張ってほしいという、強い願いを込めて歌わせていただきました」と、球団への熱いエールを送りました。なお、松平氏はこれ以前にも、中日ドラゴンズの応援歌として絶大な人気を誇る「燃えよドラゴンズ！」の2008年バージョンで歌唱を務めた経験があります。

楽曲の大きな特徴として、まず副題に冠された「いざゆけ ドラゴンズ」というフレーズが挙げられます。これは、1950年から1977年にかけて使用されていた2代前の球団歌「ドラゴンズの歌（青雲たかく）」の歌詞から引用されており、球団の歴史を継承する意味合いも込められています。また、現代的な要素として、中日ドラゴンズが勝利した際にインターネット上でファンによって用いられるスラング「ドラホー」が歌詞に取り入れられている点も注目されます。

前球団歌「勝利の叫び」が、実質的に開幕戦などで限られた機会にしか演奏されなかったのとは対照的に、「昇竜」は試合における重要な場面で頻繁に演奏されるようになりました。特に、本拠地ナゴヤドームで中日ドラゴンズが勝利を収めた後には、選手へのヒーローインタビューが始まる直前に必ずこの曲が流れ、球場全体が勝利のムードに包まれます。

さらに、試合中の攻撃回においては、8回表（ホームゲーム）または8回裏（ビジターゲーム）が始まる前に、中日ドラゴンズ応援団の主導により、迫力あるトランペットの演奏と共にファンが一体となって合唱するのが恒例となっています。これはホームゲーム、ビジターゲームを問わず行われており、スタンドとグラウンドが一体となる重要な場面を盛り上げています。

一方で、長年にわたり多くのファンに親しまれている応援歌「燃えよドラゴンズ！」については、引き続き7回攻撃前のラッキーセブンにおいて演奏が継続されています。「昇竜」と「燃えよドラゴンズ！」は、それぞれ異なる場面で演奏されることで、球場での応援における役割分担が明確になっています。

シングルCDには、「昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ-」のオリジナルバージョンに加え、トランペットのみで演奏される「昇竜 -いざゆけ ドラゴンズ- （Trumpet Version）」が収録されています。

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