明るい家族砲計画っ!

『明るい家族砲計画っ！』は、作家・新木伸が手掛けたライトノベルシリーズです。イラストはさそりがため氏が担当し、エンターブレインのファミ通文庫レーベルより、2008年6月から2010年7月にかけて全5巻が刊行されました。文庫未収録の短編も、著者のウェブサイトで公開されています。

物語は、平凡な高校生である主人公、新城拓真の日常が突如として破られることから始まります。ある日、彼の前に現れたのは、なんと20年後の未来からやってきたという少女、ヒカリでした。彼女は、拓真と彼の幼馴染である神崎美奈の間に生まれた娘だと名乗ります。この衝撃的な出来事をきっかけに、拓真と美奈の関係は、単なる幼馴染から次第に異性として意識し合う関係へと変化していきます。

未来からの使者であるヒカリの登場は、二人にとって新たな試練の始まりでもありました。彼らは、未来を変えてしまうかもしれない様々な困難や、時間移動に関連する奇妙な現象に直面することになります。物語は、これらの障害を乗り越えながら、拓真と美奈が互いへの理解を深め、愛情を育んでいく過程を中心に描かれます。また、未来からの干渉はヒカリだけではなく、別の未来から来た拓真の妻を名乗る少女やその娘なども登場し、物語を一層複雑かつ賑やかなものにします。

主要な登場人物たちは、それぞれ個性豊かです。主人公の新城拓真は、幼馴染の美奈とは「神カップル」と呼ばれるほど周囲から公認されていますが、女性の機微にはやや疎い一面も持ち合わせています。彼の頼りになる相棒は、対話的な説明書「セッちゃん」です。ヒロインである神崎美奈は、拓真の15年来の幼馴染。ヒカリの出現を機に拓真を意識し始めますが、ネガティブ思考に陥りやすく、自虐的になることも。その一方で、男子を泣かせるほどの「漢気」溢れる一面も併せ持ちます。未来から来た娘、ヒカリは、この物語の起点となる存在であり、「家族砲計画」という技術によって送られてきました。拓真の保護者役でありながらも、どこか頼りない二ノ宮修二は、実は人気のライトノベル作家「よつばゆう」でもあり、SF好きながらも担当編集の方針で恋愛小説を執筆しています。また、別の未来から来た東雲理央は、拓真の妻を自称し、美奈に対して強い対抗心を燃やしています。彼女の娘であるヨミも登場し、理央に忠実ながらも根は優しい少女です。

彼らを取り巻くサブキャラクターとしては、大柄な体格のエロ魔人から恋を経て変わる加茂田茂や、小柄で美奈の親友である小日向優貴などが登場し、物語に彩りを添えています。

作中には、未来と現在を結ぶSF的な設定が多数登場します。主要な用語である「家族砲」や「家族砲計画」は、時間を超えて人物を送る技術を指し、SF作家・豊田有恒氏の『時間砲計画』や「家族計画」といった言葉を掛け合わせたものと推測されます。また、時空を超えた宅配サービス「白ウサギ便」も登場し、ヒカリはこのサービスによって送られてきました。「ER1（Exist Rating 1）」は、特定の時空における存在確率の中心を意味する用語です。

これらのSF要素と、幼馴染同士の恋愛模様、そして未来からの家族（や別の未来からの関係者）が織りなす騒動が融合し、『明るい家族砲計画っ！』は独特の雰囲気を持つラブコメディとして展開されます。物語は全5巻で完結しており、拓真と美奈、そして彼らの未来にまつわる出来事が描かれました。

もう一度検索