明号作戦

明号作戦（めいごうさくせん）の背景と経過

明号作戦は、1945年3月9日に日本軍がフランス領インドシナで展開した軍事作戦であり、一般には「仏印武力処理」または「三・九クーデター」とも呼ばれています。この作戦は、第一次世界大戦後のフランスの植民地であるインドシナの政治的変遷と、次第に日本軍が求める民族解放の論理と絡み合っています。日本は当初、フランスのヴィシー政権との協力を通じてインドシナの軍事展開を行いましたが、連合国に敗れたフランスはその態勢を崩し、臨時政府が成立します。この結果、日本とフランスの関係は敵対的なものへと変わり、1945年初頭には日本軍がフランス軍への攻撃を計画するようになりました。

背景と経緯

仏印進駐は1940年から始まり、過去の協定に基づいて日本はインドシナに軍を駐留していました。日本は、当初はフランス側と共同で植民地の統治を行うスタンスを取っていましたが、1944年には連合国の反攻が進み、フランスのヴィシー政権が崩壊。これに伴い、日本との関係が悪化し、インドシナにおけるフランスの権威も低下しました。

静謐と民族解放

太平洋戦争の開戦とともに、日本は大東亜共栄圏の理念を掲げ、アジアの植民地解放を謳いましたが、植民地政府との協力関係はこの理念と相反するものとなりました。このため日本国内では、アジア諸国の独立支援を行う動きが高まり、インドシナにおいても独立運動が活発化します。この状況が日本軍の決断に影響を与え、1945年に入るとフランス領インドシナを武力制圧する必要性が高まっていったのです。

明号作戦の策定

1944年末から、情勢の変化を受けて日本はフランス政府機能の武力解体について検討を始めました。特に外相の重光葵は、早急に武力処理を行うべきだと主張し、結果的に第38軍がこの作戦を具体化することとなります。日本軍はその後、作戦計画を進め、「明号作戦」と名付けました。

最後通牒と作戦発動

1945年3月9日、土橋第38軍司令官の指導の下、日本軍はフランス軍に対し最後通牒を送りました。この通牒が受信されない場合は、「7・7・7」として攻撃を開始することが決められ、その時間が迫りました。フランス側は応答を先延ばしにし、日本は待機状態を続けましたが、最終的に21時を過ぎても返答がなかったため、日本軍は作戦を開始します。

作戦の展開

明号作戦は日本軍にとって成功を収め、主要なフランス軍拠点がその日のうちに制圧されました。例えば、サイゴンではフランス軍の指揮官が追加の抵抗を試みることなく捕虜となりました。これに対抗するフランス軍は激しい抵抗を行いましたが、各地は次々に陥落し、最終的には武装解除を余儀なくされました。

結果と影響

明号作戦を経て、日本はインドシナ総督府の管理下に入りつつありましたが、この結果を受けて各地で民族運動が活性化しました。特に、ベトナムの保大帝やカンボジア国王が相次いで独立宣言を行う事態となり、日本の支配体制には亀裂が生じていきます。

最終的に日本は戦後期に侵攻した連合軍に対抗しきれず、作戦開始直前からの急変を乗り切れなかったことが、後にベトナムでの反日感情を高める要因となり、その影響が続いていくことになります。

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