明和自動車工業

明和自動車工業：幻の自動車メーカー

明和自動車工業は、太平洋戦争終結後の一時期に存在した自動車製造会社です。航空機メーカーであった川西航空機が、戦後の民需転換に伴い設立されました。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

黎明期：オート三輪「アキツ号」の開発

1946年、川西航空機は兵庫県の西宮工場でオート三輪トラック「アキツ号」の開発と生産を開始しました。これは、航空機製造の技術を活かした新たな挑戦でした。翌1947年には、社名を明和興業と改称し、新たなスタートを切ります。

分割と独立：明和自動車工業の誕生

1949年11月、企業再建整備法により分割を受け、西宮工場を中心とする自動車部門が「明和自動車工業」として独立しました。その後も「アキツ号」の生産を続け、大型の2t積みモデルも開発するなど、事業拡大を目指しました。

苦難の時代：大手メーカーとの競争

しかし、明和自動車工業は、先行する大手メーカーとの競争において、販売力などで劣勢を強いられました。経営不振が続く中、1956年にはダイハツ工業と三和銀行の資本参加を受け入れ、社名を「旭工業」に変更。ダイハツ工業の系列会社となりました。

ダイハツ工業との統合：アキツ号の終焉

1957年、ダイハツ工業が軽オート三輪車・ミゼットを開発すると、旭工業は生産の重点をミゼットへと移し、「アキツ号」の生産を終了しました。そして1970年、旭工業はダイハツ工業に吸収合併され、その歴史に幕を閉じました。かつての工場は、ダイハツ西宮工場（後のダイハツ西宮部品センター）となりました。

代表車種：アキツ号

「アキツ号」は、明和自動車工業（およびその前身）が製造したオート三輪トラックです。戦後の物資輸送を支えた一台として、その名は歴史に刻まれています。

関連企業：新明和工業とダイハツ工業

現存する航空機・輸送機器メーカーである新明和工業は、1949年の企業分割時に分社された同系会社です。また、明和自動車工業は、最終的にダイハツ工業に吸収合併されたため、両社は深い関わりがあります。

明和自動車工業は、短命に終わった自動車メーカーでしたが、戦後の日本の自動車産業の一端を担った存在として、記憶されるべきでしょう。

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