明帝 (東晋)

明帝（めいてい）

明帝（317年 - 325年）は、東晋の第2代皇帝であり、名は司馬紹（しば しょう）、字は道畿（どうき）。父は初代皇帝の元帝（司馬睿）。

生涯

司馬睿の長男として生まれました。母は荀氏という側室で、漢化した鮮卑族の血を引いているとも伝えられています。幼い頃から非常に聡明で、元帝に深く愛されました。逸話として、長安からの使者に対し、太陽と長安のどちらが近いかという質問に、最初は長安と答え、翌日には太陽と答えたという話が残っています。これは、状況に応じて適切な答えを使い分ける彼の知恵を示すものとして語られています。

317年に父が晋王となると世子となり、318年に皇帝として即位すると皇太子となりました。322年に王敦が反乱を起こした際には、自ら出陣しようとしましたが、側近の温嶠の諫言により思いとどまりました。明帝の勇猛さは王敦に警戒され、また元帝が末子の司馬昱を溺愛したこともあり、太子の地位が危うくなることもありました。しかし、温嶠の弁護によって廃嫡を免れました。

元帝の崩御後、皇帝として即位すると、王敦が再び反乱を起こします。明帝はこれを果敢に鎮圧し、王敦の棺を暴いて屍に刑を加えました。皇帝権力の安定化を図るため、王導を重用し、江南の貴族との融和政策を推進しました。

325年に27歳の若さで崩御しました。その治世は短かったものの、東晋随一の名君と評されており、長命であれば東晋の命運も変わっていたかもしれないと言われています。また、王導から司馬昭らによる簒奪の経緯を聞かされた際、顔を覆って嘆いたという逸話も残っています。

一説には、明帝は金髪で黄髭であったとも言われています。王敦は司馬紹の容貌を見て「鮮卑奴（鮮卑族を侮辱した言葉）なり」と評しました。

宗室

皇后：庾文君（明穆皇后）- 庾亮の妹
子
成帝 司馬衍（世根）- 第3代皇帝
康帝 司馬岳（世同）- 第4代皇帝
娘
南康公主 司馬興男 - 桓温の正室
廬陵公主 司馬南弟 - 劉惔に嫁いだ。
南郡公主 - 羊賁（羊祜の兄の羊発の曾孫）に嫁いだ。

脚注

伝記資料：『晋書』巻6 帝紀第6 粛祖明皇帝
関連項目：東晋の人物一覧

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