明日のために (松山千春のアルバム)

松山千春のオリジナル・アルバムとしては通算12作目にあたる『明日のために』は、1985年の夏、7月10日にリスナーのもとへと届けられました。

この作品は、松山千春にとって、所属レコード会社をNEWSレコードからALFAレコードへと移籍してから初めて世に出されたアルバムです。レーベル移籍第一弾としてリリースされた本作は、アーティストの新たな局面を象徴する一枚となりました。

また、『明日のために』は、当時の音楽メディアの大きな変化を反映した作品でもあります。LPレコードが主流であった時代から、コンパクトディスク（CD）が普及し始めた時期にあたり、松山千春のオリジナル・アルバムとしては、初めてLPとCDが同時に発売された記念碑的な作品となりました。これは、新しいメディアへの対応という点でも、彼のキャリアにおける重要な一歩と言えます。

アルバム収録曲の詳細は公開されていませんが、その制作には、日本を代表する多くの優れたミュージシャンたちが参加し、楽曲の世界観を豊かに彩っています。

演奏陣を見てみると、まずギターパートでは、エレキギターを松原正樹と角田順が担当し、力強くエモーショナルなサウンドを支えています。アコースティックギターには、笛吹利明と丸山政幸が名を連ね、楽曲に繊細かつ温かみのある響きを加えています。

リズムセクションでは、ベースを長岡道夫と渡辺茂が、ドラムスを見砂和照が担当し、安定したグルーヴで楽曲の骨子を形成しています。パーカッションは浜口茂外也が担当し、楽曲に彩り豊かなアクセントを加えています。

キーボードパートには、中西康晴、国吉良一、渋井博、戸塚修、林政宏、有坂秀一という、数多くの実力派プレイヤーが集結しました。彼らの多様な音色が、楽曲に深みと広がりを与えています。

ストリングスには、KATOH JOE GROUPが参加しており、壮大で情感豊かなサウンドスケープを描き出しています。そして、ボーカルを支えるコーラスには、EVE、比山清、木戸恭弘、瀬尾一三が参加し、ハーモニーによって楽曲の魅力を一層引き立てています。

このように、『明日のために』は、レーベル移籍という新たなスタートを切った時期に制作され、当時の最新メディアであったCDでの展開にも対応した、松山千春のキャリアにおける重要な転換点を示すアルバムと言えます。

リリースから年月を経た1993年には、日本コロムビアから発売された「松山千春オリジナル・アルバム・コレクションVol.08」として再リリースされ、再び多くの音楽ファンに届けられました。

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