明治の五大監獄

明治五大監獄：近代日本の監獄建築とその後

明治時代に建設された5つの監獄、通称「明治五大監獄」は、近代日本の刑務所建築史において重要な位置を占めています。設計を手掛けたのは建築家の山下啓次郎。その設計思想や、各監獄の変遷、そして現在の姿までを詳しく見ていきましょう。

五大監獄の所在地と沿革

明治五大監獄は、千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島の5か所に建設されました。それぞれの監獄の竣工は明治40年（1907年）頃で、その後、大正、昭和、平成と時代を経る中で、移転、改称、閉鎖など様々な変化を遂げています。

千葉監獄（現・千葉刑務所）：千葉県千葉市若葉区。赤レンガ造りの建物が現在も使用されています。
金沢監獄（現・金沢美術工芸大学）：石川県金沢市。監獄跡地には現在は金沢美術工芸大学が建ち、正門・中央看守所・監房の一部は博物館明治村に移築されています。
奈良監獄（旧・奈良少年刑務所）：奈良県奈良市。美しい煉瓦造りの外塀と正門が特徴です。内部の建物も明治時代の煉瓦建築が多く残されています。2016年に廃庁となり、現在は奈良拘置支所として機能の一部が引き継がれています。
長崎監獄（正門のみ現存）：長崎県諫早市。1992年の移転後、老朽化が進み、取り壊されましたが、正門のみが保存されています。移転前の廃墟となった姿は、多くの人の記憶に残っています。
* 鹿児島監獄（正門のみ現存）：鹿児島県鹿児島市。1985年に移転。跡地は現在、鹿児島アリーナとなっています。正門のみが残されています。

建築の特徴と設計者

五大監獄の多くは赤レンガ造りで、当時の技術水準の高さを示しています。特に奈良少年刑務所は、煉瓦建築の美しさで知られていました。設計者として山下啓次郎の名前が広く知られていますが、千里久春吉も設計に関わったとする説もあります。

各監獄の現在

明治五大監獄は、現在ではそれぞれの場所で異なる役割を担っています。刑務所として機能を継続しているもの、跡地に大学や公共施設が建設されたもの、そして正門など一部の建物のみが残されているものなど、それぞれの歴史を反映した姿を見せています。

アクセス方法

各監獄跡地へのアクセス方法は、それぞれの場所によって異なります。公共交通機関を利用する場合、最寄りの駅やバス停からのアクセス方法を事前に確認する必要があります。

まとめ

明治五大監獄は、近代日本の監獄建築史を語る上で欠かせない存在です。その歴史的価値を認識し、残されている建造物や資料を通じて、日本の近代化の歴史を学ぶことができます。現在も各地に残る遺構を訪れることで、当時の様子を想像し、歴史への理解を深めることができるでしょう。 また、これらの監獄が、単なる刑務施設としてだけでなく、近代日本の社会構造や技術力の発展を反映した建築物として捉えることも重要です。

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