明治大学應援團

明治大学応援団

明治大学応援団（正式名称：明治大学応援団）は、明治大学体育会に所属する団体であり、1922年（大正11年）にその活動を開始しました。日本の大学応援史において、画期的な手法を数多く生み出し、現在の一般的な応援スタイルの基礎を築いた先駆者として知られています。

沿革と革新

応援という文化そのものは、明治時代から学生スポーツの中で自然発生的に生まれつつありましたが、組織的な活動として「明治大学應援團」が正式に発足したのは1922年でした。この創成期において、初代団長である相馬基氏が考案したのが、紋付袴姿で行われる「三三七拍子」です。これは相撲の所作などをヒントに生まれた応援形式であり、後に全国的な広がりを見せ、現在でも日本の代表的な応援手法として、スポーツ応援のみならず、様々な場面で用いられています。

さらに、応援に音楽を取り入れるという革新的な試みも行われました。戦後間もない1949年（昭和24年）には、日本の応援団として初めてブラスバンドを導入。神宮球場での東京六大学野球において、鳴り物を伴う応援を展開しました。また、1963年（昭和38年）には、外国の応援形式を研究した結果、バトントワラー（現在のバトン・チアリーディング部）を六大学で初めて設立。これにより、リーダー部、吹奏楽部、バトントワラーズの3部体制が確立され、伝統的な精神性と新しい技術を融合させた応援スタイルを築き上げました。

組織運営においては、度重なる困難も経験しました。戦前の組織分裂や不祥事による活動停止、戦時中の自然消滅などを経ましたが、終戦後の1946年（昭和21年）に再建を果たします。しかし、その後も組織の分裂や不祥事による旧リーダー部の廃止などがあり、現在の応援指導班、吹奏楽部、バトン・チアリーディング部による体制へと至っています。特に2007年の不祥事を受けて、大学は旧リーダー部を廃止し、その後、吹奏楽部とバトン・チアリーディング部の下部組織として応援指導班が新設され、組織の再構築が行われました。

特徴的な応援様式と文化的影響

明治大学応援団から発祥した、あるいは全国に広がるきっかけとなった応援様式は多岐にわたります。

三三七拍子: 1924年（大正13年）に考案されて以来、日本の応援の代名詞となるほど普及しました。スポーツの応援はもちろん、式典や祝勝会など、様々な場面で激励や祝福の意を示すために広く用いられています。
リーダーテクニック: 相撲の型を取り入れたとされる、両手を肩より上に広げて柏手を行う独特のリーダーテクニックも、初代団長によって生み出され、国内の多くの応援団に継承されています。
嵐の拍手: 1949年（昭和24年）に創始された、力強い独特の拍手形式です。歌舞伎の「見栄」や相撲の「四股（不知火型）」といった日本の伝統芸能の要素が取り入れられています。
ブラスバンド・バトントワラー: それぞれ1949年、1963年に日本の大学応援団として初めて導入され、応援に音と華やかさをもたらし、他校の応援スタイルにも大きな影響を与えました。
* チャンステーマ: 野球応援において得点機会を盛り上げるために使われる「チャンステーマ」にも、明治大学応援団が大きく貢献しています。作詞者が明大OBである縁から、野球応援に初めて採用したとされる「狙いうち」は、プロ野球や高校野球で広く使われる定番曲となりました。また、「ハイパーユニオン」や「ノックアウトマーチ」といったオリジナル曲も多くのチームで使用されています。

現在の活動と多様性

現在の明治大学応援団は、約150名のメンバーで構成され、その約8割が女性です。組織は応援指導班、吹奏楽部、バトン・チアリーディング部（JESTERS）の3グループを中心に活動しています。近年は女性リーダーの活躍が目覚ましく、東京六大学史上初の女性応援団長や女性リーダー長が誕生するなど、組織運営の中心を担っています。

活動は学生スポーツの応援にとどまらず、多岐にわたります。就職活動に臨む学生を激励する名物行事「出陣式」の開催や、テレビ番組、映画など様々なメディアへの出演も行っています。特に吹奏楽部とバトン・チアリーディング部は、近年NHKの音楽番組にアーティストとコラボレーションする形で出演するなど、その活動の幅を広げています。

文化の継承と未来へ

旧来の学ラン姿に象徴される応援団は全国的に団員減少が進む傾向にありますが、明治大学応援団を含む多くの大学応援団は、応援という我が国固有の文化を守り、次世代に継承していくことを目指しています。無形文化財への登録活動なども含め、伝統的な応援スタイルと現代的な要素を融合させながら、応援文化の発展に貢献しています。

不祥事の経験を踏まえ、毎年「校旗返還貸与式」を実施するなど、過去の出来事を風化させず、組織のあり方を見つめ直す取り組みも行われています。伝統を重んじつつ、時代の変化に対応し、多様なメンバーが活躍する組織として、明治大学の教育活動の一環として位置づけられ、活動を続けています。

（参考文献：『明治大学応援団100年史』など）

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