明治神宮外苑競技場

明治神宮外苑競技場について

明治神宮外苑競技場は、1924年に東京・青山の明治神宮外苑内に設立された陸上競技場で、近代日本のスポーツ史において重要な役割を果たしました。この施設は日本初の大規模スタジアムであり、1957年に取り壊されるまで、日本国内のさまざまなスポーツイベントが開催されました。

設計と建設

この施設の設計は、内務省明治神宮造営局の技師小林政一によるもので、彼は世界の著名なスタジアムを参考にして、当時最新の設備を備えたトラックとスタンドを組み込みました。競技場は、南北方向に配置された400メートルの楕円形トラックを中心に、メインスタンドが西側に設置されていました。メインスタンドには、その両端に塔が立っており、北側の塔には大時計が取り付けられていました。

小林自身も著作『明治神宮外苑工事に就て』に記しているように、設計にあたってはさまざまなスタジアムの要素を取り入れました。これにより、スタジアムは機能的でありながら、当時の流行を反映したデザインとなっています。競技場のトラックは9レーンがあり、幅は12メートル、ほかの部分も幅10メートルを確保していました。トラック内はサッカーやラグビー、ホッケー用のフィールドとしても使用され、見栄えの良い芝生が植えられていました。

歴史的背景

競技場の建設は、昭和元年の明治天皇崩御後に始まりました。東京市は明治天皇を祀るために神宮を設立することを決定し、その一環として外苑が整備されることになりました。1914年に市長の阪谷芳郎が大日本体育協会の嘉納治五郎と意見交換し、欧米式の公園と競技場の建設を提案したことが、実現への第一歩となります。

1915年には明治神宮奉賛会が設立され、明治神宮造営局に設計と施工を依頼します。1922年に定礎式が行われ、1923年には関東大震災の影響を受けながらも、建設が進められました。1924年には競技場の竣工式が行われ、初の明治神宮競技大会が開催されました。

競技大会と国際大会

競技場はその後、さまざまな大会の場となり、特に1930年に行われた極東選手権大会は、アジアで最大規模のスポーツイベントとして注目を集めました。日本、中国、フィリピンなどから選手が参加し、観衆の熱狂を呼び起こしました。競技場は、長期間にわたり地域社会のスポーツ発展に寄与し、多くの名勝負が繰り広げられました。

1940年の東京オリンピック開催が決定するも、様々な要因により競技場の改修計画は流動的で、最終的には新しい競技場の建設へと至ります。戦後はアメリカ軍に接収され、名称も「ナイル・キニック・スタジアム」に変更されましたが、日本人も利用することが可能でした。

1957年には新国立競技場のために明治神宮外苑競技場は取り壊され、その役割を終えました。数々のスポーツイベントを通じて日本の近代スポーツの歴史に名を刻んだ競技場でしたが、今ではその名残はありません。

終わりに

明治神宮外苑競技場は、単なるスポーツ施設ではなく、日本における近代スポーツの草創期を象徴する場所でした。歴史的な背景と、その功績は、後のスポーツ界に大きな影響を与え続けています。

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