明治40年の大水害

明治40年の大水害について

明治40年、1907年に発生したこの大水害は、山梨県で記録的な大雨によって引き起こされました。特に8月21日夜から26日にかけて発生した台風の影響で、甲府盆地を含む広範囲での被害が報告されています。降水量は甲府で満315.4mm、大月で728mm、山中湖で643mmと、各地で異常な降雨が観測され、これが河川の氾濫と土砂崩れを引き起こしました。

治山・治水の歴史

山梨県は古くから水害が多発していた地域であり、甲府盆地には笛吹川や釜無川といった大河川が流れています。このような地勢から、江戸時代においても治水対策が講じられてきました。信玄堤に代表される治水工事は、洪水による被害を最小化するための試みでありましたが、地域の林業の発展が山林の荒廃を促進し、更なる水害の要因となっていました。

藤村県政の影響

1873年、藤村紫朗による県令本部の設立後、山梨県内の製糸業が奨励される中、山林の伐採が加速しました。この結果、1882年や1885年等に大規模な水害が発生し、復旧に対する県財政の負担が増大しました。これらの経済的影響は、近年の大水害の背景に繋がります。

ムルデルの治水指導

1883年にはオランダ人技術者のムルデルが山梨県で治水指導を行い、その調査が県の河川改修の契機となりました。しかし、その後の交通政策変更により、国家の財政は緊縮路線に突入し、河川改修は進展しませんでした。慢性的な水害が続き、その復旧作業が県財政を圧迫しました。

明治40年水害の様子

この大水害により、233人が死亡し、5757棟の家屋が流出、650ha以上の耕地が埋没しました。特に峡東地方では強い被害が見られ、交通網も寸断されました。『巡視日記』には被災地の視察結果が詳細に記されており、復旧作業についての報告も行われております。被害の中には、集落の孤立や住宅の損壊、交通の不通も含まれ、その広範な影響の深刻さが浮き彫りになっています。

御料林問題とその影響

水害の原因として、山林の荒廃が指摘されています。従来の共同利用地であった小物成地が官有地に編入され、入会慣行が制限されたことが、山林管理の乱れを引き起こし、水害を助長する要因となったと言われています。明治40年の大水害を契機に県では治水工事の国庫負担が求められ、山林の管理への見直しも進められました。

水害後の移住計画

水害後、山梨県では罹災者を北海道へ移住させる計画が持ち上がりました。移住に関する説明会が各地で開催され、最終的に650戸、3130人以上の住民が北海道へ移住し、新たに集落が形成されました。しかし、厳しい環境には適応できない者が続出し、多くの移住者が離村する結果となりました。

国際的な援助

また、外国からの支援もあり、清国からは60万石の米の援助が決定され、日本国内の復興活動へ寄与しました。これにより、地域の復興へ向けた一歩が踏み出されたのです。

結論

この明治40年の大水害は山梨県の歴史において非常に重要な出来事であり、その後の地域社会の変化や農業経済に深刻な影響を及ぼしました。大水害を契機にして、治水政策や山林管理の見直しが始まり、地域経済の再建が進められたのです。

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