明浜町

明浜町（あけはまちょう）とは

かつて愛媛県に存在した町で、東宇和郡に属していました。キャッチフレーズは「潮風とみかんと心ときめく町」、サブキャッチフレーズは「素足の自然感じてみませんか」。2004年4月1日に周辺の町と合併し、西予市の一部となり自治体としての明浜町は消滅しましたが、現在も西予市の住所表示名としてその名を残しています。

地理

位置

愛媛県の南部に位置し、宇和海に面しています。東宇和郡の最西端に位置していました。

地形

複雑に入り組んだリアス式海岸が特徴で、入り江に沿って集落が点在しています。町域の大部分は南斜面であり、急傾斜地は果樹園として利用されています。平地は非常に少ない地形です。

気候

宇和海に面しているため、海洋性の温暖な気候です。

集落

町内には、田之浜、高山、狩江、俵津の4つの主要な集落があり、それぞれ小学校が存在しましたが、現在は統合され、俵津に明浜小学校があります。高山はさらに高山と宮野浦、狩江は狩浜と渡江に分けられることもあります。

町名の由来

昭和の町村合併時に公募で選ばれた名称です。487件の応募の中から選考委員会で推挙されました。最終的に「明浜町」が選ばれた背景には、「明るい海辺の町にしたい」という願いと、この地域がかつて「明浜（あかはま）」と呼ばれていた歴史が影響しているとされています。

歴史

近世

藩政時代には、町の西半分は宇和島藩、東半分は吉田藩の漁村でした。1716年には甘藷が導入され、1808年にはハゼの栽培が広がりました。

近代

1880年代には柑橘類の栽培が始まり、1879年には養蚕が始まりました。1889年には町村制施行に伴い、俵津村、狩江村、高山村が成立。1911年には宇和島運輸により沿岸航路が開設されました。
大正時代には、石灰業が活況を呈しましたが、大戦後の不況や化学肥料の普及により需要が減少。高山地区では石灰石の切り出しが行われ、海運業も栄えましたが、昭和50年代には鉱山が閉鎖されました。
1933年には、第一次ブラジル農業移民が始まりました。

戦後

1948年には、宇和高校の俵津分校と高山分校が開校。1955年には俵津村と狩江村が合併し豊海村となり、1958年に豊海村と高山村が合併して明浜町が発足しました。その後、1963年に俵津分校、1973年には高山分校が閉校。1968年にはフェリーおれんじ沈没事故が発生。1973年には南予水資源開発事業として野村ダムの建設が決定。昭和40年代末頃から伊予柑やポンカンなどの高級柑橘類への転換が進みました。原子力発電所などのエネルギー基地計画もありましたが、実現には至らず、その後は、みかんと水産の静かな町となりました。1979年には高山鉱山が閉山。1988年にはかっぱMATSURIが始まり、1989年にはシーサイドサンパーク構想が策定されました。1991年には台風19号による被害が発生。2004年には、宇和町、野村町、城川町、三瓶町と合併し西予市となりました。

行政

庁舎は高山地区に本庁があり、俵津には支所がありました。

首長

初代から4代までの首長は以下の通りです。
1. 酒井義満 (1958年2月 - 1966年2月)
2. 平野善一 (1966年2月 - 1974年2月)
3. 宇都宮竹夫 (1974年2月 - 1978年2月)
4. 酒井正直 (1978年2月 - 2004年3月)

昭和の合併

合併の際には、旧村同士で役所の位置を巡り対立がありましたが、最終的には高山地区に置かれることになりました。

産業

農業と水産業が中心の町でした。

農業

柑橘栽培が中心で、水源に乏しいため水田はほとんどありません。

水産業

かつてはイワシ漁が中心でしたが、現在はチリメン漁と真珠養殖が盛んです。魚類養殖は、入り江の形状から波の影響を受けやすく、大規模ではありません。

製造業

製塩業の工場が目立つ程度です。伯方塩業明浜工場があります。

文化

海にちなんだ独自の文化が息づいています。

若宮神社のかっぱの狛犬

高山地区にある若宮神社には、狛犬が「かっぱ」の姿をしています。これは、この地域にカワウソが生息していたことが由来とする説があります。この狛犬をなでると願いが叶うとされており、頭がすり減って平らになっています。

かっぱ祭り

大早津海岸のシーサイドサンパークで毎年8月上旬に開催される祭りです。

鯨塚

江戸時代に打ち上げられた鯨に感謝して作られた塚で、地域住民の食糧難を救った鯨を祀っています。

蛸を祭る神社

狩浜の春日神社には、蛸が神体を拾い上げたという伝説があり、その感謝のために蛸を祀っています。氏子は祭り期間中は蛸を食べるのを避ける習慣があります。

文楽

俵津地区では、1852年から始まった俵津文楽が継承されており、県指定無形民俗文化財となっています。

祭り

秋祭りが盛大で、各地区で少しずつ異なる形態で行われます。高山の加茂神社では、潮垢離が行われ、若者が夜の海で身を清めます。渡江地区では、歌舞伎の衣装を着た子供たちが踊る「渡江歌舞伎くずし盆踊り」が開催されます。

教育

町内には高等学校はなく、中学校は統合され明浜中学校となりました。統合後は遠距離通学対策としてスクールバスが運行されています。

統合前の小学校

田之浜小学校、高山小学校、狩江小学校、俵津小学校がありました。

交通

道路交通が中心で、鉄道は通っていません。

鉄道

最寄りの駅はJR四国予讃線の卯之町駅です。

道路

国道378号線が町内を縦貫しており、八幡浜市、三瓶町、吉田町と連絡しています。また、愛媛県道45号宇和明浜線が野福峠トンネルを経由して宇和町と連絡しています。

バス

宇和島自動車が宇和島・吉田方面と卯之町方面に運行しています。

観光

名所・観光スポット

あけはまシーサイドサンパーク（大早津海岸）
鯨塚
フィッシングセンター
野福峠
文楽会館
大崎鼻
明浜宇和山岳公園
石灰窯跡地

イベント

野福峠さくら祭（4月上旬）
かっぱMATURI（8月上旬）

特産物

かんきつ類（ウンシュウミカン、ポンカン）
工芸品（狩浜餅、竹細工、焼き物など）
かんきつ加工品（みかんジャム、マーマレード、みかんジュース「ムテンカ」など）
海産物（ハマチ、真珠、チリメン、しそわかめちりめん、ちりめんの佃煮、ひじき、あおさの佃煮、つわぶきの佃煮など）
郷土料理（ひゅうが飯、さつま汁、あじの釜飯、ちりめんなど）

著名な出身者・関係者

田中恒利（衆議院議員）
宇都宮健児（弁護士）
永井康徳（医師）

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