明石全登

明石全登（あかし てるずみ）

明石全登は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将であり、宇喜多氏の家臣であった熱心なキリシタン武将です。彼の名前は複数の読み方があり、全登を「ぜんとう」と読む場合や「じゅすと」とみなす説があります。また、彼には諱（いみな）として複数の名前が伝わっており、掃部（かもん）という通称でも知られていますが、正確な名前の確認は難しいとされています。

生涯

全登は備前国保木城主の明石行雄の子として生まれました。彼の生年は不明ですが、永禄12年（1569年）前後だと考えられています。明石氏は赤松氏の末裔であり、銅山の運営や技術統率を行う一族でした。父の行雄は浦上宗景の家臣で、後に宇喜多直家に仕官しました。全登は、父が存命中に大俣城の城主としての役割を担いましたが、領国行政には関与していませんでした。

慶長4年（1599年）に発生した宇喜多騒動では、全登が家宰として家中を取り仕切り、秀家の直臣として知行を増やし10万石を得ることになります。さらに、慶長5年（1600年）には関ヶ原の戦いに参加し、宇喜多勢の先鋒を務めましたが、戦局は不利に進展しました。その際、全登は主君を守るために殿軍を務め、大坂城への退却を促しました。

戦後、全登は岡山城へ退いたものの、城はすでに荒らされ、宇喜多氏は没落しました。その後、浪人となった全登は、黒田如水の庇護を受けて生活しましたが、その後の消息には諸説あり、豊臣方として豊臣秀頼のために戦うも、戦死したという説が有力視されています。ただし、彼が逃げ延びたとの伝承も存在し、九州や南蛮へ逃亡したとも言われています。

子孫と伝承

明石全登の子孫を名乗る家系はいくつか存在しますが、その真偽は曖昧です。秋田県比内町には全登の子孫とされる家族が存在し、家伝によると大坂落城後に仙台で保護された後、津軽へ移ったとされています。また、全登には3人の男子がいたとされていますが、彼らは弘前を離れ流浪の末に扇田に定住したと伝えられています。明石全登にまつわる仏像が今も残されており、全登の子孫の一人として元国際連合事務次長の明石康が知られています。

関連作品と研究

全登に関する研究や著作も多く存在します。中でも、松田毅一の論文やフーベルト・チースリクによる研究があり、彼の生涯やその歴史的背景について深く掘り下げられています。これらの資料から、明石全登の多様な側面を理解することができるでしょう。また、彼の子孫に関する伝承もいくつか紹介されており、全登の影響が今も続いていることを感じさせます。

明石全登は、ただの武将ではなく、信仰の確立や家族への思いも強かったキリシタン武将なのです。彼の伝説は、彼の生きた時代や背景を知る上で価値があるものとなっています。

もう一度検索