明経

明経（みょうぎょう）について

明経は、奈良時代から平安時代にかけての令制度下において、官吏を登用するために行われた試験制度の一つです。この制度は、当時の日本における政治・教育制度の中で重要な役割を果たしました。明経は、特に儒教を学ぶ者に焦点を当てた試験であり、式部省がこれを主催していました。

明経試の概要

明経試（みょうぎょうし）は、秀才に次ぐ位置づけであり、武士や他の職業とは異なる形で、官僚としての道を目指す者たちを対象としました。試験は、儒教の経典を重視しており、特に『礼記』や『論語』といった文献の理解が必須条件とされていました。これらの経典は、後世の明経道と呼ばれる儒教を学ぶ学科において、基礎知識としての位置づけを持っていました。

明経試を受ける者は、原則として2経以上に通じていることが求められ、これは大経1つと小経1つ、あるいは中経2つのいずれかに該当します。このため、試験には多くの知識と学問が必要となり、受験者は厳しい競争にさらされました。

評価と位階の制度

明経試は、経籍10条の内容を試験し、その結果を9段階で評価しました。最も優秀な成績である上上第から、上中第などの位置付けがありました。上上第は、正八位下に叙され、上中第は従八位上に位置づけられました。その他の評価として上下第や中上第もあり、これらは最初は式部留省に付されましたが、802年（延暦21年）以降に、各々に対して大初位上や大初位下に昇進する制度が追加されました。

また、試験合格後の者で蔭位資格を有するか、孝悌により表彰された場合、通常の位階よりも1階上に叙されることがありました。これは教育機関としての大学寮の重要性を反映した制度とも言えます。

試験制度の発展

明経試は、当初は唯一の官吏登用試験として機能していましたが、後に新たな試験制度が追加されました。秀才を目指す者には紀伝道が、法学に従事しようとする者には明法道が設けられ、試験制度全体がより多様化していきました。

このように、明経は日本の学問体系や官吏登用の仕組みの中で非常に重要な位置を占めていました。その結果、多くの優れた人材がこの道を通じて政治や社会に貢献することになりました。

参考文献

• - 野村忠夫「考試」（『日本史大事典 3』（平凡社、1993年） ISBN 4-582-13103-4）

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