星暹日報

星暹日報（Sing Sian Yer Pao）

星暹日報は、タイ王国で発行されている華語（中国語）の日刊新聞です。1950年6月23日に星暹日報社によって創刊されました。この新聞は、タイにおける華人社会の重要な情報源の一つとして、長年にわたり読者に親しまれてきました。

創刊と変遷

創刊当初、星暹日報は東南アジアで広く展開していた星新聞系列の一員でした。この系列は、タイガーバームの販売で知られる華僑の胡文虎によって設立されました。胡文虎は、東南アジアの主要都市や中国南部で新聞事業を展開し、星暹日報もその一環として誕生しました。1954年に胡文虎が亡くなると、その息子である胡蛟がグループを引き継ぎました。

1971年からは、胡文虎の弟の娘婿である李益森が社主を務めるようになりました。その後、編集長にはネートラー・ルータイヤーノンが就任しました。しかし、李益森も高齢となり引退を決意したことから、新聞の経営体制は大きく変わることになります。

中国資本の参入と変革

2010年、中国広東省広州市に本拠を置く省政府系の南方報業伝媒集団が資本参加を決定し、星暹日報は新たな局面を迎えることになりました。この資本参加に伴い、同年11月26日には、創刊以来初めてとなる題字と版組のフルリニューアルが行われました。

新しい版組は、マレーシアやシンガポールで発行されている星系列紙である『星洲日報』や、タイで競合する台湾系の『泰國世界日報』と同様に、横組み左書きに変更され、DTP組版に完全対応しました。さらに、南方日報の支援を受け、本格的な電子版の配信や、中国版Twitterとも言える微博の活用など、新たな展開を始めました。また、2012年2月には、それまで使用されていた繁体字から簡体字へと字体が変更され、タイにある6つの華語朝刊紙の中で、初の簡体字紙となりました。

現在の星暹日報

星暹日報は、月曜日から土曜日まで10バーツ、日曜日は5バーツで販売されています。現在、星暹日報社の社屋は、ポーンプラープ区ジャルーンクルン通りのSAB交差点に位置しています。この社屋は、かつてベルギー資本のサベナ・[[ベルギー航空]]社の建物として使用されていたものです。

批判と評価

星暹日報は、その歴史の中で、タイ国内における中華人民共和国の影響力拡大の道具として利用されているという批判も受けています。これは、中国資本の参加によって、より中国の視点や情報が反映されるようになったためと考えられています。しかし、一方で、華人社会にとっては重要な情報源であり、中国語の新聞として一定の評価を得ていることも事実です。

星暹日報は、タイの華人社会と中国のつながりを映し出す鏡のような存在と言えるでしょう。その変遷は、タイにおけるメディアと中国の影響力の変化を物語る上で重要な事例となっています。

参考資料

Wikipedia:星暹日報

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