映画評論 (雑誌)

映画評論（えいがひょうろん）

『映画評論』は、1925年から1975年までの50年間、日本の映画に関する専門的な雑誌として刊行されていました。この雑誌は、映画ファンや評論家たちによって創刊され、映画文化の発展に貢献しました。特に映画監督を作品の作者として位置づけ、その研究に焦点を当てたことが最大の特徴です。

歴史的な背景

『映画評論』は、1925年に宮城県仙台市の旧制第二高等学校の出身者である若者たちによって、同人誌として創刊されました。初年度には4冊が発行されました。この頃のメンバーには、佐々木能理や太田国夫などの映画愛好者が名を連ねていました。

第1期（1926年 - 1946年）

翌年の1926年、スポンサーが現れ、東京に編集部を移動して本格的な商業誌へと移行しました。この第二のスタートにより、映画監督の特集が始まり、1927年には外国映画ベストテンと日本映画ベストファイブを選出し、初めての試みとしてその結果を誌上に発表しました。特集には、国外作品として『チャング』や『ビッグパレード』、国内作品として『忠次旅日記 信州血笑篇』などが選ばれました。また、戦争の影響下でも発行を続け、多くの映画ファンの支持を受けました。

第2期（1947年 - 1949年）

戦後、1947年にリニューアルされ、編集者には飯島正や清水晶が名を連ねました。この時期は過去の評論家が再び執筆陣に加わり、雑誌の更新が図られました。

第3期（1950年 - 1975年）

1950年からは「第3期」が始まり、まさに黄金時代を迎えました。この時期には、多くの若手評論家が活動を開始し、著名な映画監督のインタビューや特集が組まれるようになりました。特に、佐藤忠男や品田雄吉といった編集者が雑誌の方向性を決め、多様な映画ジャンルに目を向けるようになりました。

この時代には、映画界の新しい動向が反映され、アングラ映画やB級映画についても評価されるようになりました。さらに、若手監督たちの映画論や主張も誌に掲載され、社会的なテーマを扱うことも増えていきました。

1970年代には、社会全体が反体制的な傾向を見せたことも影響し、雑誌もその雰囲気を取り込むようになります。特に、若松プロを支持し、アングラ路線を強化することで、より先鋭的な読者層をつかむことに成功しました。

休刊とその後

1974年には、オーナーが変わり、その後1975年の1月号をもって休刊となりました。このように『映画評論』は、日本の映画文化の発展に大きな役割を果たした雑誌ですが、最終的にはその歴史的使命を終えました。

まとめ

『映画評論』の50年にわたる歴史は、日本の映画界に多くの影響を与えてきました。映画監督への視点を持ち、映画を文化として考察する重要なプラットフォームとして、多くの読者に支持されてきたのです。この雑誌の存在は、今でも多くの映画ファンにとって、映画を語る上での大きな資源となっています。

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