春だドリフだ全員集合!!

映画『春だドリフだ全員集合!!』

1971年に公開された映画『春だドリフだ全員集合!!』は、ザ・ドリフターズの「全員集合シリーズ」として愛されてきた作品であり、松竹ドリフ映画の第8作目でもあります。この作品は、シリーズ初の「歌手」がゲストとして出演し、小柳ルミ子やゴールデン・ハーフがキャストに名を連ねました。また、この映画と同時上映されたのは、有名な『男はつらいよ 寅次郎恋歌』で、以降のシリーズ作品もこの寅さんシリーズが同時上映されています。

ストーリー内容

物語は、万年二ツ目の売れない落語家、いかり亭長楽（演者: いかりや長介）といかり亭茶楽（演者: 加藤茶）の奮闘を描いています。彼らの師匠、中本竜三（演者: 石山健二郎）から、アイドル歌手である小柳ルミ子との契約を取り付けるよう命じられます。しかし、長楽は契約を取りに上京しますが、あえなく断られてしまいます。

契約を諦めた長楽は、「いかり亭長楽」の名をいただき、居酒屋で偶然出会った加藤ヒデオに無理やり「茶楽」という名前を付けて入門させます。そして、幼馴染の高木風太（演者: 高木ブー）の家の2階に住み込むことから物語が始まります。しかし、二人は隣に住むヤクザ者の妹、文子（演者: 長山藍子）とエリ子（演者: 新藤恵美）にそれぞれ恋をしてしまい、芸の練習は捗りません。

そんな時、家賃の滞納が問題となり、風太の妻は半分を学生・中本工作（演者: 仲本工事）に貸してしまいます。この工作こそ、逃げた長楽を探している竜三の息子であり、物語はさらに複雑化します。

ついに、竜三が「東日本憂国同志会」という集まりに招かれたため、その関係で長楽たちのアパートに訪れることになります。長楽はどうにかして隠れ続けますが、文子が政治家の二号にされる危険を知り、長楽たちは舞妓に変装して会合に乗り込む決断をします。このシーンは映画のクライマックスとも言える緊張感とコメディが同時に楽しめる瞬間です。

スタッフとキャスト

監督は渡邊祐介が務め、脚本には田坂啓と渡邊祐介が名を連ねています。また、沢村国男と井沢健が製作を手掛け、荒野諒一の撮影によって美しい映像が生まれています。音楽の担当には木下忠司があり、印象的な楽曲が物語を引き立てます。

キャストには、いかりや長介、加藤茶、高木ブー、仲本工事、荒井注など、ザ・ドリフターズのメンバーが揃っており、彼らの絶妙なコンビネーションが名作に仕上げています。

各エピソードとの関連性

本作品では、三遊亭圓生や柳家小さんを中心に真打昇進決定の会議の場面があり、これが後の落語協会の分裂騒動を予見させる興味深いエピソードとなっています。この映画は、ただの喜劇作品ではなく、時代背景や文化の変遷についても考察の余地がある作品です。

このように、『春だドリフだ全員集合!!』はただの娯楽映画にとどまらず、深い問題意識や人間模様を描いた作品となっており、多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索