春の鐘

春の鐘

『春の鐘』（はるのかね）は、1985年11月9日に劇場公開された日本映画である。東宝映画が製作、東宝が配給を担当した。上映時間は128分で、カラー作品としてビスタビジョンサイズで公開された。

スタッフ

製作：小倉斉
原作：立原正秋
脚本：高田宏治
音楽：久石譲
撮影：椎塚彰
美術：樋口幸男
録音：紅谷愃一
照明：粟木原毅
編集：鈴木晄
助監督：山下賢章
製作担当者：森知貴秀
スチール：石月美徳
監督：蔵原惟繕

キャスト

北大路欣也
古手川祐子
三田佳子
中尾彬
芦田伸介
岡田英次
奈良岡朋子

製作背景とエピソード

本作の製作は、当初、主人公である鳴海六平太役に緒形拳、その妻である鳴海範子役にいしだあゆみを配して進められていた。しかし、緒形拳が作品の方向性について、鳴海を中心とした男性映画に変更したいという意向を示し、これが製作側との間で折り合わず、緒形拳は降板することとなった。いしだあゆみも緒形拳とのコンビでの出演を予定していたため、彼と同時に降板することになった。この変更に伴い、鳴海六平太役には北大路欣也が、鳴海範子役には三田佳子が新たにキャスティングされた。

偶然ではあるが、この北大路欣也と三田佳子のコンビは、本作に続いて東映が製作した五社英雄監督の映画『火宅の人』（1986年公開）でも夫婦役として起用されることとなった。『火宅の人』の製作側は、以前からこの二人の出演を強く望んでいたと言われており、本作におけるキャスティング変更は、東映にとってまさに絶好のタイミングであったと言える。

公開当時、古手川祐子がキャリアで初めてヌードシーンを披露したことが大きな話題を呼んだ。また、三田佳子も、蔵原惟繕監督から「三田さんが出演してくれなければ、この企画自体を取りやめる」とまで言われるほど熱心に説得されたことで、その熱意に応える形で、自身にとって初めてのヌードシーンに挑戦した。しかし、三田佳子のヌードシーンは長く撮影されたものの、最終的な編集段階で蔵原監督によって大部分がカットされ、物語上、重要な部分ではなく、性的な描写も抑えられた形でのみ使用されるに留まった。

評価と受賞

本作での演技を含め、三田佳子は第9回日本アカデミー賞において最優秀助演女優賞を受賞している。

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