春日山神社

春日山神社

新潟県上越市の春日山に静かに鎮座する春日山神社は、戦国時代の稀代の英傑として知られる上杉謙信公を御祭神としてお祀りする神社です。春日山城跡のほど近くに位置し、謙信公がこの地で過ごした時代を偲ばせる場所にあります。

御祭神

主にお祀りされているのは、戦国武将・上杉謙信命です。その御神霊は、謙信公ゆかりの地である山形県米沢市の上杉神社から分霊されたものであり、この地においても謙信公への崇敬の念が脈々と受け継がれています。

神社の歴史（由緒）

春日山神社の創建は、明治時代末期に遡ります。上杉謙信公の遺徳を深く敬慕した旧高田藩士、小川澄晴氏がその建立を強く願い、明治20年（1887年）に発起しました。小川澄晴氏は後に著名な童話作家となる小川未明氏の父としても知られています。この神社建立の構想は、近代郵便制度の父として知られる前島密氏をはじめとする多くの人々の支援を得て、実現に向けて進められました。そして、発起から長い歳月を経て、明治34年（1901年）にようやく社殿が建立され、創祀という形になりました。

社殿

本殿は、古来より日本の代表的な神社建築様式の一つである神明造りを採用しています。

境内の見どころと関連

広々とした境内には、いくつかの見どころがあります。

まず、境内に設けられた宝物館では、御祭神である上杉謙信公に関する資料に加え、この地に縁の深い童話作家、小川未明氏に関連する貴重な資料が展示されており、歴史や文化に触れることができます。

また、年の初め、特に正月期間には、多くの人々が初詣や二年参りのために訪れ、境内は大変な賑わいを見せます。

春日山神社は、童話作家・小川未明氏とも深い繋がりがあります。前述の通り、神社の創建において中心的な役割を果たした小川澄晴氏が未明氏の父であったこと、そして未明氏自身も15歳頃から20歳頃にかけて、神社の境内にあった住居で生活を送っていました。この青年期の経験は、彼のその後の人生や作品に何らかの影響を与えた可能性も考えられます。未明氏の功績を讃え、昭和31年（1956年）11月17日には、境内に小川未明氏の詩碑が建立され、その除幕式が行われました。

境内にはまた、上杉謙信公に関連する興味深い美術品も収められています。これは、彫刻家の滝川毘堂氏が制作した上杉謙信像のひな型の一つです。このひな型は、現在春日山城跡の中腹に威風堂々と立つ上杉謙信公像を制作する際に用いられたものです。かつてはこのひな型が春日山旅館に置かれていましたが、同旅館が令和4年（2022年）に閉館したため、現在は春日山神社に寄贈され、大切に保管されています。

その他の関連

遠く離れた場所にも、この春日山神社との繋がりが見られます。新潟県糸魚川市にある落水城の城跡には、当社の御神霊を分祀して建立された祠が現在も祀られており、この神社の影響が広範囲に及んでいることを示しています。

春日山神社は、上杉謙信公を敬愛する人々の心のよりどころであり、また地域の歴史や文化を今に伝える重要な場所として、多くの人々に親しまれています。謙信公の遺徳を偲び、静かに祈りを捧げるにふさわしい厳かな雰囲気を持つ神社です。

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