神明造

神明造（しんめいづくり）

神明造は、日本の神社建築様式の一つであり、特に伊勢神宮にその特徴が顕著に表れています。この様式は、大社造や住吉造と共に、最も古い神社建築様式と考えられています。大社造はほぼ正方形の宮殿に似ている一方で、住吉造は大嘗祭の様式に近いとされる中、神明造はその奥行きが幅よりも小さい特徴を持ち、元々は高床倉庫から進化したとされています。これにより、神明造は穀物ではなく神宝を納めるための構造に変わったと考えられています。

特筆すべき点は、伊勢神宮にある皇大神宮（内宮）や豊受大神宮（外宮）の本殿が、他の神社では同じ様式の社殿を建てることができないように、明治時代の新政府により制約を受けているため、唯一無二の神明造として位置づけられています。

構造の特徴

神明造の基本構造は、掘立柱と呼ばれる状態で支えられた切妻造の屋根と、平入の入り口を持つことに特徴があります。柱や鰹木は円柱であることを除いてほぼ直線的な形状をしており、そのため全体的にシンプルで直線的な美しさが見られます。これは、大社造の優美な曲線とは大きく異なる点です。

屋根の特徴

神明造の屋根は、狭義では萱葺きに限りますが、一般的には板葺きや銅葺きも含まれます。伊勢神宮が配置したほとんどの摂社や末社は板葺きであり、熱田神宮は銅葺きです。神道が寺院建築と対になってこのような屋根の材質を持つことは稀で、特に屋根の耐久性を考慮して勾配を充分にとる必要があります。これにより、雨や雪が容易に流れ落ちる構造が実現されています。また、屋根の頂上は板で補強され、鰹木で強化されます。

柱と壁

神明造の柱は、基本的に左右対称で配置され、左右には偶数本の柱が並びます。その柱は地面との間に礎石を設けずに掘立て式に立てられています。中心に位置する棟持柱は、通常は太くて強固な材質で作られていますが、構造上の強度にはそれほど寄与しません。また、中央には心御柱も配置されていますが、同様に強度にはあまり寄与しません。

壁には十分な強度を持つ板材が使われ、正面中央には観音開きの御扉が設けられます。この扉は通常一枚板で作られているため、相当な規模の古木が必要です。例えば、皇大神宮の本殿には樹齢400年以上のヒノキが使われることが求められます。

床の構造

神明造の床は通風性を重要視した高い構造で、これは元々高床倉庫から進化した名残と考えられています。これにより、階段が長くなる必要性があります。

神明造の歴史

歴史的に見ると、神明造の特徴を持つ社殿の起源は古く、具体的な記録はありませんが、弥生時代の遺跡に見られる柱の配置が現在の神明造と類似しているため、弥生時代の高床倉庫がその発展の一端であるとされています。江戸時代以前は、伊勢神宮以外には伊勢神宮の境内地に存在する神社に限られていましたが、明治時代以降は復古主義の影響で、神明造が一般に広がる流れがありました。実際、熱田神宮も明治の遷宮で神明造とされ、かつての尾張地方独特の形式から改められました。現在、台湾の神社の多くも神明造の影響を受けています。

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