春日山 (相撲)

春日山

春日山（かすがやま）は、日本相撲協会の年寄名跡の一つです。初代・春日山が四股名として名乗っていたことに由来しますが、その詳細な由来は明らかになっていません。

名跡の変遷

16代春日山（幕内・大昇）が1990年に定年退職した後、春日山はしばらく空き名跡となりました。1991年には板井が引退時に借株で襲名する予定でしたが、相撲協会の承認が得られず廃業を余儀なくされました。その後、陣岳が17代、逆鉾が18代、薩洲洋が19代と、いずれも借株で春日山を襲名しました。

春日富士は16代春日山から名跡を取得し、1996年の引退後に20代春日山を襲名しました。引退直後は安治川部屋の部屋付き親方を務めましたが、翌年には内弟子を連れて春日山部屋を再興。20名を超える力士を抱える大規模な部屋となり、相撲部屋の中でも有数の規模を誇りました。

2010年頃、濱錦の引退が近づくと、濱錦が襲名する年寄名跡の確保が検討されました。高島部屋が弟子不足に悩んでいたことから、13代高島（関脇・高望山）が部屋と高島名跡を濱錦に継承し、自身は濱錦が用意する別の名跡を継承して部屋付き親方となる案が出ました。しかし、新規に相撲部屋を開設する権利を持たない濱錦は、高島部屋に弟子を1名入門させる形を取りました。

2011年、立浪部屋付きの14代雷（小結・羽黒岩）が定年退職すると、雷が空き名跡となりました。そこで濱錦が雷を事前に確保し、引退時に高島と名跡交換を行う計画が立てられました。20代春日山らの協力により雷名跡の買収資金が準備され、濱錦は雷名跡を確保しました。しかし、2011年6月に高島部屋の所属力士が不在となり、部屋は消滅。雷と高島を交換して濱錦を部屋持ち親方にする計画は実現しませんでした。

2012年1月、日本相撲協会の理事に就任した20代春日山は、自らは理事職に専念し、相撲部屋の運営を濱錦に譲ることを検討。濱錦の引退後に雷と春日山の名跡交換を行い、濱錦が春日山部屋を継承することで合意しました。20名以上の弟子を擁する春日山名跡と、部屋付き親方に過ぎない雷名跡とでは財産的価値が大きく異なると考えられましたが、濱錦から春日山への支払額や支払い方法については、春日山がしばらく部屋の運営に関与した後、濱錦が親方として独立する際に改めて協議することになりました。

同年の3月場所前に濱錦が引退すると、相撲協会の承認を得て名跡交換が行われ、濱錦は21代春日山を襲名、20代春日山は16代雷に名跡を変更しました。しかし、雷名跡取得時の借入金と春日山部屋継承の対価が未払いだったため、名跡証書は16代雷が預かることになりました。

同年9月、16代雷が女性問題で相撲協会を退職すると、21代春日山との間で支払い対価に関する話し合いが行われましたが、合意には至りませんでした。

2013年、日本相撲協会が公益法人化への移行を目指す際、名跡証書の提出を義務付け、提出できない場合には部屋の存続を認めない方針を示しました。21代春日山は相撲協会に対し、証書を紛失したと虚偽の申告を行い、再発行を申請しましたが、16代雷こと岩永が証書を所持していることを表明したため、相撲協会は再発行を取り消しました。

2013年11月、岩永が相撲協会を退職した後も名跡証書を不当に所持しているとして、21代春日山は名跡証書の引き渡しを求める訴訟を起こしました。しかし、2016年の一審判決は岩永の証書所有の正当性を認める内容でした。21代春日山は高裁に控訴しましたが、2017年1月に相撲協会との人材育成契約が更新されず、相撲協会を退職。これに伴い、2017年2月20日に双方が請求を取り下げ和解し、訴訟は終結しました。和解から間もない3月9日に岩永が急逝しました。

21代春日山が退職してから約4年後、名跡を取得していた勢翔太が2021年に引退し、24代春日山を襲名しました。これにより、春日山は時津風一門の名跡となりました。

春日山の代々
代目の太字は、部屋持ち親方。

脚注

関連項目
春日山部屋

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