昭和銀行

昭和銀行：金融恐慌後の救済機関

株式会社昭和銀行は、1920年代から1940年代にかけて存在した日本の銀行で、日本版ブリッジバンクとも評されます。設立の背景には、第一次世界大戦後の経済変動と関東大震災によるモラトリアムが引き起こした昭和金融恐慌がありました。

設立の経緯

昭和金融恐慌は、1927年5月の「日本[[銀行]]特別融通及損失補償法」によって一旦収束したものの、破綻した銀行の後始末という課題が残りました。そこで、日本[[銀行]]は、破綻銀行の債権債務を引き受け、預金者や取引先を救済するための新銀行設立を構想しました。これが昭和銀行設立のきっかけです。

1927年10月29日、日本興業[[銀行]]総裁の小野英二郎を創立委員長とし、当時の五大銀行（三井、三菱、住友、安田、第一）を含む国債シンジケート団17行を発起人として設立総会が開かれ、同年12月より営業を開始しました。資本金は1000万円で、うち750万円が国債シンジケート団、さらに500万円が五大銀行によって負担されました。

初代頭取には日本[[銀行]]国庫局長を経て豊国銀行頭取となった生田定之が、二代目頭取には愛知銀行（後の東海[[銀行]]、現在の三菱UFJ[[銀行]]）常務で、戦後には日本育英会会長、宮内庁長官、ソニー会長を歴任した田島道治が就任しました。

業務内容と破綻処理

昭和銀行は、資本金と総額1億円にのぼる日銀特融を活用して債務を返済する一方、破綻銀行の査定を厳格に行い、破綻銀行の役員に対しては私財提供を求めました。特筆すべきは、破綻処理に税金が使用されなかったことです。

1928年には、破綻した各銀行の債権整理が進み、中沢銀行、中井銀行、八十四銀行、村井銀行、近江[[銀行]]、若尾銀行、藤田銀行、久喜銀行、奉昌銀行などが合併されました。中井、中沢、若尾、村井、久喜などの各銀行の本支店は、合併後も昭和銀行の店舗として使用され続けました。

1904年に同様の合併を行った豊国銀行も、1928年に昭和銀行に合併されています。

終焉とその後

1942年、昭和銀行は日銀特融を全額返済し、その任務をほぼ終えました。そして、1944年に安田銀行（後の富士[[銀行]]、現在のみずほ[[銀行]]）に合併され、その歴史を閉じました。現在、昭和銀行の業務はみずほ[[銀行]]に承継されています。

合併直前には、関東圏を中心に店舗網を展開していましたが、一部店舗は住友[[銀行]]（現、三井[[住友[[銀行]]]]）、愛知銀行、三十四銀行（以上現、三菱UFJ[[銀行]]）、野村銀行（現、りそな[[銀行]]）などに営業譲渡されていました。安田銀行への吸収に際しては、一部店舗が近隣の安田銀行店舗に統合されました。

かつての本店は安田銀行室町支店となり、その後みずほ[[銀行]]室町支店となりましたが、2006年の店舗統廃合により、同銀行日本橋支店に統合され、その跡地に移転しました。

安田銀行'>[銀行]]は戦前、安田財閥系の銀行を吸収合併する傾向がありましたが、昭和銀行は合併直前まで安田財閥系の銀行ではありませんでした。ちなみに、この合併の前年に安田銀行が合併した日本昼夜銀行および同日に買収した第三銀行]は安田系の[[銀行でした。

まとめ

昭和銀行は、昭和金融恐慌という未曾有の危機に対応するために設立された特殊銀行であり、破綻した銀行の救済と預金者保護という重要な役割を果たしました。その歴史は短かったものの、日本の金融史における重要な出来事の一つとして、その名を刻んでいます。

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