昭和31年台風第12号

昭和31年台風第12号（エマ台風）

1956年（昭和31年）9月3日に発生した台風12号は、国際名エマ（Emma）とも呼ばれ、日本各地に大きな爪痕を残しました。この台風は、沖縄地方に記録的な暴風雨をもたらし、戦後最大級の被害をもたらしたことで知られています。

台風の概要

台風12号は9月3日に発生し、9月8日には沖縄本島に上陸しました。沖縄気象台では、当時の最大瞬間風速記録となる73.6mを観測し、最低中心気圧930ヘクトパスカルを記録。これらの数値が示すように、非常に強力な勢力を保ったまま沖縄地方に接近しました。沖縄地方では、家屋の倒壊や浸水、農作物への被害が甚大で、戦後最大とも言われる深刻な被害が発生しました。

屋久島では517.9mm、名瀬市などでも200mmを超える記録的な降雨量を記録。また、有明海一帯では高潮による塩害が発生し、佐賀県や長崎県の干拓地では水稲が壊滅的な被害を受けました。さらに、台風が日本海を通過する際には、北陸地方にフェーン現象を引き起こし、これが魚津大火の遠因となったと考えられています。

台風の経路

9月1日に熱帯低気圧として発生した後、9月3日9時に台風12号（エマ）として、北緯23度8分、東経141度5分で発生しました。その後、勢力を強めながら北上し、9月8日には沖縄本島に上陸、横断しました。この時の中心気圧は940hpaでした。9月9日には五島列島を通過し、対馬海峡から日本海へと進みました。9月11日9時には、北緯46度7分、東経139度の地点で熱帯低気圧に変わりました。

被害状況

この台風による被害は甚大で、死者39人、負傷者251人、行方不明者2人に及びました。家屋の被害も大きく、全壊家屋は5318戸、浸水家屋は4800戸に達しました。また、田畑の埋没や流失は約4.5ヘクタール、冠水は約14.1ヘクタールに及びました。道路、橋梁、堤防の流出や損壊は336箇所に及び、インフラにも大きな被害をもたらしました。別の統計では、死者・行方不明者36人、負傷者188人、住宅全壊2957棟、住宅半壊7942棟とされています。

長崎港や有明海では高潮が発生し、有明海の干拓地では塩害が発生。特に、佐賀県と長崎県の水稲は壊滅的な打撃を受け、農業に大きな影響を与えました。

さらに、9月10日午前7時30分には、大雨に見舞われていた静岡市で最大瞬間風速40mの竜巻が発生しました。この竜巻により、死者2人、重軽傷者44人、全半壊家屋78戸、破損家屋294戸、電柱損壊21箇所、家屋の被害額は1億円に上りました。竜巻は静岡市の本庄町や豊川市でも発生し、各地に被害をもたらしました。

関連項目

魚津大火

外部リンク

デジタル台風：台風195612号（EMMA）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
台風と沖縄 歴代の台風 - ウェイバックマシン
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