昭和38年台風第9号

昭和38年台風第9号（ベス）

1963年8月に九州地方に甚大な被害をもたらした台風9号、国際名ベスについて解説します。

概要

1963年7月30日、マリアナ諸島西方で台風9号が発生しました。発生当初、台風の動きは遅く、発達も緩やかでしたが、8月4日になると急速に勢力を増し、北上を開始しました。当時、日本列島は7月13日の梅雨明け以降、太平洋高気圧に覆われ、連日の厳しい暑さと少雨に見舞われていました。一部地域では水不足が懸念される状況でした。

通常、8月の台風は東シナ海から大陸東岸を北上する傾向にありますが、当時は太平洋高気圧の勢力が弱まっていたため、台風9号は徐々に北上を続けました。そして8月9日、台風は宮崎県と大分県の県境付近に上陸し、勢力を保ったまま九州を縦断。その後、日本海へと進み、8月11日には温帯低気圧に変わりました。

被害と影響

この台風により、九州地方を中心に甚大な被害が発生しました。死者23名、行方不明者6名、負傷者46名という人的被害に加え、住家の損壊2,064棟、浸水25,166棟という大きな被害をもたらしました。

また、この台風の影響により、1963年の長崎平和祈念式典は、屋外での開催を予定していた平和公園から、長崎国際文化会館へと場所を変更して行われることとなりました。台風がもたらした影響は、人々の生活だけでなく、平和への祈りの場にも及んだのです。

まとめ

昭和38年台風第9号（ベス）は、九州地方に大きな爪痕を残した災害でした。この台風の経験は、その後の防災対策に大きな影響を与え、教訓として語り継がれています。自然災害の脅威を改めて認識し、日頃からの備えを怠らないことが重要です。


参考資料
* デジタル[台風]]：[台風196309号（BESS）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）

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