昭和58年7月豪雨

昭和58年7月豪雨の詳細

昭和58年7月豪雨は、1983年7月に日本海側を中心に発生した重大な水害です。この災害は、特に島根県の浜田市を中心とした地域で発生した集中豪雨によって引き起こされ、広範囲にわたる被害をもたらしました。気象庁によって激甚災害に指定されており、7月20日から23日までの大雨が影響を及ぼし、その後の数日間も雨が続きました。

災害の経過

この豪雨は梅雨期に発生しました。まず、5月下旬に梅雨前線が九州南部で停滞し、6月には本州全体にも梅雨が影響を及ぼしました。7月初旬には九州地方で降雨が強まり、さらには中旬には北日本でも低温が続く状況で前線が南下しました。特に7月19日から20日にかけて、日本海上に低気圧が発生し、その影響で前線が山陰地域に停滞しました。この結果、22日夜から23日朝にかけて島根県西部で集中豪雨が発生しました。

被害状況

この豪雨によって、特に浜田市、益田市、那賀郡三隅町などで甚大な被害が発生しました。降水量も記録的で、浜田市では最大1時間降水量が91mmに達しました。また、4日間での降水量は、山地地域で500mmを超えるところもありました。このため、多くの河川が氾濫し、浸水被害が広がりました。特に、二級河川として分類される敬川や三隅川は最高水位を更新し、街の中心部に深刻な浸水をもたらしました。

インフラへの影響

災害の影響で、国道や鉄道路線も数多く寸断されました。特に国道9号や54号、161号などは土砂崩れや浸水のため通行できない状態となりました。また、山陰本線のほか、三江線も全線不通となり、復旧には時間がかかりました。電力の供給も困難になり、49,840戸が停電し、36,000戸が水道の断水に苦しむ結果となりました。

土砂災害

土砂災害もこの豪雨の大きな特徴です。特に91人が土砂災害によって命を落とし、その多くが山崩れやがけ崩れによるものでした。このような現象は、樹木伐採後の未整備の森林地帯で特に多く発生しました。昭和30年代以降、燃料としての木材からプロパンガスへの移行が進んだため、山地の手入れが不足し、治山整備が行き届かなかったことが背景にあると考えられています。

結論

昭和58年7月豪雨は、日本海側の梅雨期において発生した典型的な豪雨災害であり、強い降水により多くの人命と財産が失われました。この災害を教訓として、今後の災害対策や防災制度の強化が求められます。特に、山間部における森林管理や治山整備の重要性が再認識されることとなりました。

もう一度検索