時の鐘 (川越市)

川越 時の鐘：歴史と音色が響く川越のシンボル

川越の蔵造りの街並みにひっそりと佇む「時の鐘」は、川越のシンボルとして親しまれている鐘楼です。地元では「鐘撞堂（かねつきどう）」とも呼ばれ、その美しい姿は多くの人々を魅了し続けています。

時の鐘の概要

時の鐘は、3層構造で高さ約16メートルの木造の塔です。かつては人が鐘を撞いて時を知らせていましたが、現在は自動で1日4回（午前6時、正午、午後3時、午後6時）に鐘の音が川越の街に響き渡ります。

塔をくぐると、薬師神社の境内が広がります。薬師神社は、病気平癒、特に眼病にご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。

時の鐘の歴史

時の鐘の歴史は古く、江戸時代の寛永年間に川越藩主・酒井忠勝によって創建されたのが始まりです。しかし、時の鐘は過去に何度も火災に見舞われました。

1654年（承応3年）には、川越藩主の松平信綱が椎名兵庫に命じて新たな鐘を鋳造させています。また、1704年（宝永元年）には、秋元氏が谷村藩から川越藩に転封された際、谷村城下の鐘が川越に移されました。この鐘は1694年（元禄7年）に鋳造されたものだったそうです。

現在の鐘楼は4代目にあたり、1893年（明治26年）の川越大火の翌年に再建されたものです。再建には、竹谷兼吉をはじめとする川越の商人や、高田早苗、渋沢栄一、原善三郎、茂木惣兵衛など、多くの人々が資金援助を行いました。

時の鐘は、1958年（昭和33年）に川越市指定有形文化財に指定され、1996年（平成8年）には、日本の音風景100選にも選ばれました。

耐震補強工事

時の鐘は、2015年から2017年にかけて耐震補強工事が行われました。これは、2015年の耐震診断で、大地震が発生した場合に倒壊する恐れがあると指摘されたためです。

工事では、地下に60トンのコンクリートを流し込んで耐圧板としたり、外板を新しくするなど、大掛かりな工事が行われました。この工事によって、建設当初の姿も明らかになっています。

工事期間中は、時の鐘は囲いや足場に覆われていましたが、2017年1月9日に工事が完了し、完成を記念する式典が行われました。

時の鐘は、川越の歴史と文化を象徴する貴重な建造物です。その美しい姿と鐘の音は、これからも川越の街に響き渡り、多くの人々に愛され続けるでしょう。

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