転封

転封（てんぽう）について

転封は、知行地や所領を他の場所に移す行為を指します。この用語は、国替（くにがえ）や移封（いほう）とほぼ同義であり、歴史的な文献では「国替」や「所替」、「得替」などの表現が用いられています。

転封の歴史的背景

戦国時代、戦国大名は滅亡した国衆の領土を接収し、自らの直轄地とすることで強固な領国を築きました。この過程で、家臣団の統制を図るために転封を行い、服属した国衆の所領を再配置しました。転封は戦国大名による領国管理の象徴でしたが、強力な家臣にとっては転封が行えない場合もあり、戦国大名の権力には限界があったと考えられています。

近世においては、豊臣政権や江戸幕府などの統一権力が、大名に対する処分や統制を行う手段として転封が利用されました。特に太閤検地以降、大名の土地所有権は天下人や征夷大将軍に帰属するという認識が広まりました。ただし、恩賞としての加増を伴う転封も一般的に行われたため、一概に権力行使だけとは言い切れません。

豊臣政権と江戸幕府における転封の具体例

統一政権による転封の最初の例として、天正18年（1590年）に豊臣秀吉が徳川氏を駿河国から武蔵国の江戸に移動させたことが挙げられます。家康の旧領に関しては、織田信雄を転封させる計画があったものの、信雄が拒否したため改易となりました。

江戸時代に入ると、幕府による転封が行われましたが、その初期段階では外様大名の地方転出が主で、新たに徳川家の大名がその地に進出する形で進められました。しかし、中期以降は外様大名の転封が減少し、徳川系大名の役職就任に伴う行政的な転封が主流となりました。

転封の影響と領民の反応

しかし、転封は武士の在地領主としての側面を薄め、地方知行制から俸禄制への移行を促進する要因ともなりました。これは近世の大名が家中を統率する上で大きな変化であり、戦国大名とは異なる特徴となりました。反面、領民にとっては領主が代わることでそれまでの権利が侵害される可能性があり、反抗する一揆が発生することもありました。また、転封法度や土地の売買証文には、徳政拒否に関する文言が早い段階から見受けられました。

江戸時代を通じて、幕府の権威は転封を通じて絶対的なものでしたが、天保の改革における三方領地替えの失敗は、幕府権力の低下を象徴する出来事となりました。これがどのように幕府と大名との関係に影響を与えたのかは、今後の研究でさらに明らかにされることが期待されています。

関連項目

• - 一所懸命の土地
• - 御恩と奉公
• - 安堵
• - 安堵状
• - 減封
• - 改易
• - 引っ越し大名! - 国替えをテーマにした2019年の日本映画

もう一度検索