映画『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』
1973年9月21日に公開された『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』は、
1972年8月26日から17日間にわたって開催されたミュンヘンオリンピックの公式記録映画です。この記録映画は、東和の45周年記念作品であり、文部省により選定されたほか、芸術祭にも参加し、カンヌ国際映画祭にも出品されています。
この映画の特徴は、原題にある通り、8人の著名な映画監督がそれぞれ異なる競技や題材を担当し、
オムニバス形式で構成されている点です。元々は10人の監督が参加する予定でしたが、
イタリアの
フランコ・ゼフィレッリとセネガルのウスマン・センベーヌが参加辞退したことで、8人体制に変更されました。
製作を手掛けたデビッド・ウォルパーは、以前に1959年に公開された米ソ宇宙開発をテーマにしたドキュメンタリー『The Race for Space』でアカデミー賞を受賞した経歴があり、その後も400本以上の映画やテレビ作品を手掛けてきました。このような背景を持つウォルパーがプロデューサーとして関わった本作は、「世界一流の映像作家8人を起用した異色のドキュメンタリー映画」として、多くの評価を受けることになりました。
受賞歴
本作は、サン・セバスチャン映画祭で特別賞を受賞しています。この評価は、映画がオリンピックの魅力を如何に表現したかに対する賛辞であり、視覚的かつ感動的なアプローチが称賛されています。
各監督による作品の概要
いくつかのセクションでは異なる作品が紹介され、各監督がそれぞれの視点で描いたアスリートたちの姿が印象的です。
- 監督: ユーリー・オゼロフ
- 脚本: デリアラ・オゼロワ
- 撮影: イーゴリ・スラブネビッチ
- - The Strongest / 最も強く (重量挙げ)
- 監督: マイ・ゼッタリング
- 脚本: デビッド・ヒューズ
- 撮影: ルネ・エリクソン
- - The Highest / 最も高く (棒高跳び)
- 監督:
アーサー・ペン
- 撮影:
ウォルター・ラサリー
- - The Women / 美しき群像 (女子選手)
- 監督: ミヒャエル・フレーガー
- 撮影: エルンスト・ビルト
- 唱: リタ・シュトライヒ
- 監督:
市川崑
- 脚本:
谷川俊太郎
- 撮影: 山口益夫、マイク・デービス、アラン・ヒューム
- - The Decathlon / 二日間の苦闘 (十種競技)
- 監督: ミロシュ・フォアマン
- 撮影: ヨルゲン・ペルソン
- - The Losers / 敗者たち (レスリング)
- 監督: クロード・ルルーシュ
- 撮影: ダニエル・ボクリー
- - The Longest / 最も長い闘い (マラソン)
- 監督:
ジョン・シュレシンジャー
- 撮影: アーサー・ウースター
総評
『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』は、オリンピックの精神を映像化した作品としてだけでなく、異なる視点からのアプローチが融合したドキュメンタリー映画としての価値も持っています。アスリートの戦い、栄光、そしてその背後にある物語を丁寧に描写することで、観る者に感動を与えることでしょう。この映画は、彼らの勇気と情熱を記録した貴重な作品であり、オリンピックに対する理解を深める一助となっています。