時永淑

時永淑（ときなが ふかし）は、1922年2月9日に岡山県赤磐郡赤坂町（現在の赤磐市）で生まれ、1990年4月26日に亡くなった日本の経済学者です。古典派経済学とマルクス経済学を主な研究領域とし、法政大学で長年にわたり教鞭を執りました。

1951年に東京大学経済学部を卒業後、1952年に法政大学経済学部の助手として研究者の道を歩み始めました。その後、1955年に助教授、1963年には教授に昇進し、1975年には経済学部長に就任するなど、大学運営にも大きく貢献しました。

時永淑の研究は、経済学の歴史と理論を深く掘り下げたもので、特に古典派経済学とマルクス経済学の関係性に着目した点が特徴です。著書には、『経済学史』（上・下、法政大学出版局、1968年）、『古典派経済学と「資本論」』（法政大学出版局、1982年）、『経済学の考え方－原論体系の史的生成と展開をめぐって』（法政大学出版局、1987年）、『古典派経済学研究』（雄松堂、1987年）などがあります。これらの著作は、経済学の基礎理論を学ぶ上で重要な文献として、現在でも多くの研究者や学生に読まれています。

また、時永淑はマルクス経済学の研究においても重要な貢献をしています。特に、『「資本論」における「転化問題」』（御茶の水書房、1981年）では、マルクスの資本論における難解な論点の一つである「転化問題」について詳細な分析を行っており、マルクス経済学の発展に大きく貢献しました。

さらに、時永淑は翻訳家としても活躍し、シュバルツヴィンフリート著『資本論体系成立史』（法政大学出版局、1986年）、ゲアリ・スティーンソン著『カール・カウツキー』（法政大学出版局、1990年）、ハンス＝ヨーゼフ・シュタインベルク著『社会主義とドイツ社会民主党』（御茶の水書房、1983年）、ローザ・ルクセンブルク著『経済学入門』（岩波書店、1978年）など、多くの海外の経済学関連の書籍を翻訳し、日本の経済学研究に大きく貢献しました。

1990年4月26日、時永淑は急性腎不全のため逝去しましたが、その研究成果は今日でも高く評価され、多くの経済学者に影響を与え続けています。彼の著作や翻訳は、経済学を学ぶ上で欠かせない資料として、現代の経済学研究においても重要な役割を果たしています。

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