時範記

『時範記』（ときのりき）は、平安時代後期の官人である平時範（たいらのときのり）によって書かれた日記です。この日記は、右大記（うだいき）、平右記（へいうき）、右大丞記（うだいじょうき）とも呼ばれています。

現存する逸文から、承保2年（1075年）から嘉承3年（1108年）にかけて書かれていたことが確認されています。日記の原本は残念ながら現存していませんが、一部の写[[本]]が宮内庁書陵部と国立歴史民俗博物館に所蔵されています。

宮内庁書陵部には、永長2年（1097年）七月条と承徳3年（1099年）正月～三月条の写[[本]]が、国立歴史民俗博物館には、永長元年（1096年）三月～七月条などの写[[本]]が伝えられています。これらの写[[本]]は、原本の一部分ではありますが、当時の様子を垣間見ることができる貴重な資料です。

宮内庁書陵部所蔵の写[[本]]については、早川庄八氏と宮崎康充氏によって翻刻されており、「書陵部紀要」の14号、17号、32号に掲載されています。これらの翻刻を通じて、より多くの研究者が『時範記』の内容に触れることが可能となりました。

参考文献

早川庄八「時範記、承徳三年春」（『書陵部紀要』14号、1962年）
早川庄八「時範記、補遺」（『書陵部紀要』17号、1965年）
宮崎康充「時範記、承徳三年夏」（『書陵部紀要』32号、1980年）
木本好信「『時範記』と平時範」（『平安朝日記と逸文の研究』、桜楓社、1985年）
宮崎康充「平時範に関する覚書」（『書陵部紀要』41号、1989年）

『時範記』は、平安時代後期の政治や社会、文化を知る上で非常に重要な一次資料であり、研究者だけでなく、歴史に関心のある人々にとっても貴重な情報源となっています。平時範という人物の日常や当時の出来事が詳細に記録されており、当時の貴族社会の生活や価値観を深く理解するための手がかりとなるでしょう。また、参考文献からもわかるように、多くの研究者によって詳細な研究が進められており、新たな発見も期待されています。

関連項目

平安時代
日記文学
平時範

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