普賢山天文台

普賢山天文台（ポヒョンサンてんもんだい、英: Bohyunsan Optical Astronomy Observatory, 略称：BOAO）は、韓国天文研究院が運営する主要な天文観測施設です。

慶尚北道の永川市と青松郡にまたがる普賢山の山頂、標高1,124mに位置し、その立地条件から天体観測に最適な場所として選ばれました。1996年4月に完成したこの天文台は、韓国最大となる口径180cmの反射望遠鏡を誇り、光学観測において中心的な役割を果たしています。

観測装置

普賢山天文台には、以下のような観測機器が設置されています。

リッチークレチアン式反射望遠鏡（口径180cm）: 主鏡の口径が180cmのリッチークレチアン式反射望遠鏡は、この天文台の主要な観測装置です。この望遠鏡は、可視光の天体観測に広く用いられています。
太陽フレア望遠鏡: 太陽フレアの観測に特化した望遠鏡も備えており、口径20cmの望遠鏡が2台、口径15cmの望遠鏡が2台、合計4台の望遠鏡が太陽活動のモニタリングに使用されています。

研究と成果

普賢山天文台では、以下のような天文学研究が活発に行われています。

恒星と銀河の研究: 様々な星や銀河の観測を通して、宇宙の構造や進化に関する理解を深める研究が行われています。
小惑星の発見: 2000年には、この天文台で発見された小惑星が「普賢山」(34666 Bohyunsan)と命名されました。その後も、許浚、金正浩、李純之といった歴史上の学者に因んだ名前が、この天文台で発見された小惑星に付けられています。
太陽観測: 太陽フレア望遠鏡を用いて、太陽活動や太陽風の研究も行われています。
太陽系外惑星の探索: 岡山天体物理観測所との共同研究により、ドップラーシフトを用いた系外惑星探査も行われています。この共同研究では、2009年にG型巨星HD 119445の伴星として褐色矮星質量を持つ天体が発見され、2012年にはG型巨星HD 100655の周囲に惑星が発見されるという成果を挙げています。

一般公開

普賢山天文台では、一般の人々にも天文への関心を深めてもらうため、敷地内にビジターセンターを併設し、天文台の活動や宇宙に関する展示を行っています。公開日には、天文に関する講演会も開催されています。

その他の情報

新1万ウォン札: 2007年1月に発行された韓国の新1万ウォン札の裏面には、渾天儀、天文図「天象列次分野之図」とともに、普賢山天文台の180cm望遠鏡が描かれています。

参考文献

趙世衡「韓国の天文学―最近の事情」『天文月報』（1995年4月）

関連リンク

韓国天文研究院（英語）
普賢山天文台（韓国語）

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