普通自転車専用通行帯

普通自転車専用通行帯とは

普通自転車専用通行帯は、道路交通法に基づき、自転車の安全な通行を確保するために設けられた車道上の専用レーンです。一般的に「自転車レーン」や「自転車専用レーン」とも呼ばれ、青色や茶色に塗装されていることが多いのが特徴です。本記事では、普通自転車専用通行帯の概要、詳細な規定、歴史的背景、そして関連する設備について解説します。

概要

普通自転車専用通行帯が設置された道路では、原則として普通自転車はこの専用通行帯を通行しなければなりません。ただし、2023年7月1日からは特定小型原動機付自転車および軽車両は専用通行帯規制の対象外となり、第一通行帯を通行することになります。普通自転車専用通行帯は通常、第一通行帯として設置されるため、結果として特定小型原動機付自転車および軽車両は専用通行帯の部分を通行することになります。

オートバイを含む自動車や一般原動機付自転車は、原則としてこの部分を通行することはできません。

詳細

原則として、自動車や一般原動機付自転車は第一通行帯を通行しますが、自転車専用通行帯が設置されている場合、これらの車両は専用通行帯を通行できません。ただし、左折のために左側端に寄る場合など、道路交通法第20条第3項の例外に該当する場合は通行が可能です。違反した場合は通行帯違反となり、交通反則切符が切られることがあります。

また、自転車レーンは通常、駐車禁止場所に指定されているため、車両の駐車は原則として禁止されています。ただし、駐停車禁止場所でなければ停車は可能です。しかし、実際には違法な路上駐車が多く、自転車レーンを安全に走行できない状況も少なくありません。

法律上の位置づけ

普通自転車専用通行帯は、道路交通法第20条第2項および道路標識、区画線及び道路標示に関する命令（標識令）に基づいて設置されます。これらの法令により、通行区分や道路標識・道路標示の様式が規定されています。

経緯

1960年代のモータリゼーションの発達に伴い、自転車と自動車の分離が課題となりました。その結果、道路交通法の改正により普通自転車に関する規定が設けられ、自転車歩行者道が整備されるようになりました。しかし、自転車と歩行者の分離が不十分であったため、2000年代頃から対歩行者の事故が問題視されるようになりました。

平成24年には、国土交通省と警察庁が導入ガイドラインを発表し、各自治体に「自転車走行空間ネットワーク整備計画」の策定・実行を求めました。これにより、全国的に自転車レーンの整備が進められるようになりました。

歴史

2008年：道路標識、区画線及び道路標示に関する命令（標識令）が改正され、「普通自転車専用通行帯」が法的に設置可能となりました。
2012年：国土交通省と警察庁が導入ガイドラインを発表しました。
2019年：道路構造令の改正で自転車通行帯の規定が設けられました。
2020年：新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、欧州を中心に自転車専用レーンの整備が加速しました。

路面表示による通行誘導

車両通行帯に満たない路肩部分を「路面表示」により通行誘導しているものも存在します。これは普通自転車専用通行帯と見分けが付きにくい場合がありますが、道路標識の有無や「自転車専用」の文言の有無で区別できます。これらの路面表示は、自転車の通行を誘導するものであり、法的な規制は普通自転車専用通行帯とは異なります。

自転車ナビマーク・自転車ナビライン

自転車ナビマークや自転車ナビラインは、路面に描かれた自転車マークや矢羽根マークであり、自転車の通行方向や位置を示すものです。これらは道路交通法で定められたものではありませんが、自転車の安全な走行を支援する役割を果たしています。

類似の設備

普通自転車専用通行帯に類似した設備として、自転車歩行者道（自歩道）があります。しかし、自歩道は歩道に自転車専用部分を設けるものであり、歩行者との分離が不十分であるという問題があります。

日本国外の事例

ドイツのベルリンでは、コロナウイルス感染拡大防止策として、車道の一部を流用した自転車専用車線を設置しました。
フランスのパリでは、延長680kmの自転車専用レーンを整備しています。
スペインのバルセロナでは、延長21kmの自転車専用レーンを整備するとともに、自転車シェアリングを推進しています。
アメリカのニューヨークでは、自転車専用レーンが整備されています。

整備方針

普通自転車専用通行帯の幅は、原則として1.5m以上が必要です。ただし、確保できない場合は1.0m以上でも良いとされています。レーンは視覚的に判別できるよう、青色や茶色などの有色舗装が用いられます。また、交差点内や横断歩道には、自転車ナビマークと同様の矢羽根マークを使用することが推奨されています。

一方通行の道路で自転車のみ両方通行できる道路では、順方向の左側に普通自転車専用通行帯を設置し、反対方向の左側の路肩に通行を誘導する「路面表示」を設けます。

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