普門寺 (恵那市)

普門寺について

普門寺は、岐阜県恵那市山岡町下手向に位置する曹洞宗の寺院です。龍雲山を山号とし、恵那三十三観音霊場の第二十番札所として知られています。

歴史

寺伝によると、普門寺は田翁奭公首座によって開山されました。田翁奭公は慶長10年（1605年）に亡くなったと伝えられているため、寺の創建はそれ以前と考えられています。当初は小庵か辻堂程度の規模であったと推測されています。

田翁奭公の後を継いだ快翁慶誾首座は、承応3年（1654年）に没しました。その後、久保原村の浅野家出身である禅岩玄悦が住職となり、客殿（本殿）や山門を建立し、伽藍を整備しました。禅岩玄悦はその後、田代村の留守ヶ洞へ隠居し、元禄10年（1697年）に生涯を終えました。

禅岩玄悦の隠居後、一斧鈯宣、和光拈調と住職が続きましたが、和光拈調が去った後、寺は無住の状態が続きました。宝永4年（1707年）、馬場山田村の盛久寺六世である快信祖慶の弟子、大牛光がこの状況を憂い、寺に入って中興を果たしました。大牛光は、既に亡くなっていた盛久寺二世の石室善玖（全玖）を開山とし、盛久寺七世の雲原岩亮を初代住職とし、自身は二世と称しました。そして、諸堂を修繕し、大小の鐘を新鋳するなど、寺を法地として復興させました。

しかし、開基については別説も存在します。盛久寺の寺史である「太源一滴水」には、寛永3年（1626年）に石室善玖（全玖）が普門寺を創立し、自らを開山とし、寺務を二世に任せたという記述があります。

宝暦7年（1757年）、四世住職の霊堂栄（国栄和尚）が山門を再建し、寺子屋を開いて地域の子どもたちの教育に尽力しました。明和3年（1766年）3月には、霊堂栄（国栄和尚）は東原薬師堂へ隠棲し、鰲蕚巴山が五世として入山しましたが、同年8月には三河の龍岳院へ移ったため、天堂階（卍階和尚）が六世として普門寺に入りました。

天堂階（卍階和尚）は、明和4年（1767年）に衆寮を建立し、安永2年（1773年）には庫裡を再建しました。さらに、土蔵、長屋、裏門などを整備し、寺の景観を刷新しました。

天明8年（1788年）には、大観舟（如水和尚）が普門寺に入り七世住職となりました。寛政6年（1794年）には、春本堂を再建しました。「釜屋年代記」によると、文化2年（1805年）に建立講が始まり、文化3年（1806年）に完成したとされています。

文政5年（1822年）には、孤岸舟（喚舟和尚）が九世住職となり、文政8年（1825年）には庫裡を再建、天保3年（1832年）には宝蔵を建立しました。

天保7年（1836年）に孤岸舟（喚舟和尚）が亡くなると、湖海舟が十世住職となり、寺子屋での教育に力を注ぎました。湖海舟の墓石は、寺子たちによって寄進されました。

境内

境内には弓道場が設けられているほか、恵那市の天然記念物に指定されているヒトツバタゴの老樹があります。この老樹は、普門寺の歴史を見守ってきたシンボルとして、訪れる人々に静かな感動を与えています。

まとめ

普門寺は、創建から数々の変遷を経て、今日までその歴史を紡いできた寺院です。地域の人々の信仰を集めるだけでなく、文化的な側面においても重要な役割を果たしてきました。現在も、その静寂な佇まいと豊かな自然の中で、訪れる人々を温かく迎え入れています。

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