景公 (晋)

景公の生涯と治世

景公（けいこう、? - 紀元前581年）は、中国の春秋時代における晋の君主であり、治世は紀元前600年から紀元前581年までの約20年間にわたった。彼の本名は姫拠であり、先代の君主である成公の子であった。

治政初期の混乱

即位した当初、景公は国内外の様々な課題に直面した。紀元前597年には、鄭を救うために派遣した晋の軍が邲の戦いで敗北し、その結果、趙家に対する非難の声が高まった。敗戦の責任を問われた趙朔は、叔父たちによって厳しく追及され、最終的に殺されることとなった。

この事件は、趙家が抱える不運を象徴し、趙朔の死後、荀林父は敗戦の責任を感じて自己犠牲を願ったが、士会の助けにより命を救われた。荀林父は、その後、寝返った鄭に対して討伐を命じ、戦わずして屈服させることに成功した。この一連の出来事は、晋の威信を回復する一助となった。

外交と戦争の展開

景公は、次第に北方の赤狄に対する討伐にも乗り出し、紀元前593年には荀林父が死去した後、士会が正卿に就任する。同年、晋は赤狄の部族である甲氏、留吁、鐸辰を滅ぼし、地域の権威を確立した。

紀元前589年、斉が魯を攻めた際には、救援要請があり、その結果として郤克が斉に出征することとなった。郤克は、私怨から齊に対抗し、鞍の戦いで勝利を収めたことにより、再び晋の地位を高めることに成功した。

内政の混乱と改革

内政もまた、波乱に満ちていた。紀元前587年に起こった荘姫との私通事件は、景公が屠岸賈の意見を取り入れて、趙家の有力者たちを追放するきっかけとなった。この処置は、他の大夫たちに権力を増大させる結果を招き、景公の政策に影響を与えた。さまざまな内政問題は、将来の厲公の治世にも影響を及ぼすこととなる。

また、紀元前585年には絳から汾水沿いの新田に遷都し、都市名を新絳とする。これにより治安を安定させるものであった。さらに、紀元前584年には楚の巫臣と夏姫が晋に亡命し、政治的な情勢が複雑に変化していく。

景公の死とその後の影響

紀元前581年、景公は病に倒れ、著名な名医を招いて治療を試みるが、病は進行し、ついには命を落とす。彼の死は、特に「病膏肓に入る」という言葉の由来となり、治療不能な病状を象徴する故事として今日まで語り継がれている。

彼の死に際して、占いを行った結果、「公は新麦を食べる前に亡くなる」という予言があったとされ、その運命が示される出来事にあたる。後に彼は便所での事故により命を落としたとも伝えられ、景公の終焉は彼自身の人生と同様に波乱万丈なものとなった。彼の治世は、晋における権力争いの一端を示し、その後の歴史に影響を与えた。

結論

景公の生涯は、内外の困難な問題に直面しながらも、晋の威信を回復しようとする姿勢が特筆される。彼の治世は矛盾した評価を受けることも多かったが、その影響力は後の時代にも残っている。

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