景観行政団体

景観行政団体：美しい景観を守る地方公共団体の役割

私たちの生活を取り巻く環境を豊かに彩る景観。その保全と創造は、景観行政団体によって担われています。景観行政団体とは、景観法に基づき、地域の美しい景観を守るための行政を行う地方公共団体です。具体的にどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。

景観行政団体の定義と範囲

景観行政団体は、景観法で定められた行政機構です。基本的には、地域住民の生活環境に密着した形で景観行政を担うため、地方自治体がその役割を担います。

政令指定都市や中核市といった大規模な都市部では、それぞれの地域を管轄する地方自治体（市町村）が景観行政団体となります。一方、それ以外の地域では、都道府県が景観行政団体の役割を担うのが一般的です。

ただし、例外もあります。市町村が、都道府県知事と協議し、同意を得た上で、景観法に基づく事務処理を行うことが認められた場合には、その市町村も景観行政団体として活動することができます。これは、地域の実情に合わせた柔軟な対応を可能にする仕組みです。

景観計画の策定と開発行為への規制

景観行政団体の最も重要な役割の一つが、景観計画の策定です。景観行政団体は、景観法で定められた区域を対象に、地域固有の景観資源を保護し、望ましい景観を形成するための計画を策定します。この景観計画は、地域住民や専門家の意見を反映して作成されることが多く、地域社会全体の合意形成が重要となります。

景観計画区域内では、建築物や道路などの建設など、景観に影響を与える開発行為を行う場合、景観行政団体への届け出が義務付けられる場合があります。これは、開発行為が地域の景観に与える影響を事前に審査し、適切な対策を講じることで、美しい景観を保全するためです。届け出の内容としては、建物の設計図面や施工方法などが挙げられます。景観行政団体は、届け出の内容を審査し、景観計画に適合しない開発行為については、是正を求めるなどの措置をとることがあります。

景観行政団体の数と活動

2019年3月時点では、737の地方公共団体が景観行政団体として活動していました。これは、全国各地で景観行政への関心の高まりを示しており、美しい景観を保全・創造するための取り組みが着実に進んでいることを示しています。

まとめ

景観行政団体は、景観法に基づき、地域住民の生活環境に配慮した景観行政を行う地方公共団体です。景観計画の策定や、開発行為への規制を通して、地域景観の保全・形成に重要な役割を担っています。今後も、景観行政団体による活動が、より良い生活環境の創造に貢献していくことが期待されています。

もう一度検索