暉峻康隆

暉峻 康隆について

暉峻康隆（てるおかやすたか）は、1908年2月1日に鹿児島県曽於郡志布志町で生を受け、2001年4月2日にその生涯を閉じた日本の国文学者です。彼は近世文学に特化した研究を行い、その業績は多岐にわたります。彼の俳号である「桐雨」からも、その文芸に対する情熱が伺えます。早稲田大学の名誉教授として、後進の指導にも力を入れました。

学歴とキャリア

暉峻は鹿児島県立志布志中学校（旧制）を経て、早稲田第一高等学院、さらには早稲田大学文学部国文科を卒業しました。1932年から1939年の間には、著名な作家である真山青果の指導のもと、西鶴研究の助手として活動していました。その後、1951年に『西鶴 評論と研究』を通じて早稲田大学から博士号を取得し、やがて早稲田大学の教授に就任しました。1978年には定年を迎え、名誉教授に就任しました。

井原西鶴研究の権威

暉峻康隆は井原西鶴に関する研究において、権威として広く認識されています。彼は自然主義文学やプロレタリア文学の影響を受けた西鶴の作品を批評し、特に「作家は書きながら現実認識を深める」という視点を大切にして、新しい鑑賞を提示しました。この研究は「暉峻西鶴」の名で知られ、彼の名は西鶴研究と共に語られることが多いです。

俳諧とその他の業績

また、暉峻は蕪村風の俳諧研究にも力を入れ、多くの業績を残しました。彼の学問的なアプローチは、俳諧だけでなく、広範な文学的視野を反映したものでした。中野三敏によると、暉峻は慶応義塾大学の池田彌三郎教授と並び、早慶の二大粋人教授と称されていたそうです。

議論と発言

暉峻はその学問的立場に加えて、時に物議を醸す発言をすることでも知られています。特に「女子学生亡国論」を展開し、彼らが大学に進学することで学問の質が低下するという主張を行い、多くの議論を巻き起こしました。同様に、池田教授も「大学女禍論」というタイトルの論文を発表し、さらにこの議論を深化させました。

メディア活動と執筆

1980年からは、NHKの「お達者文芸」で選者としても知られるようになりました。その一方で、好色文芸や落語に関する書物も多数執筆し、一般向けの文学を紹介しました。彼は時折、「てるおかやすたか」と平仮名で表記することもありました。特に小沢昭一と共に設立された早稲田大学初の学生サークルである落語研究会の初代顧問を務めるなど、幅広い文化活動にも関与しました。

主要著作

彼の著作には、『江戸文学辞典』（1940年）、『西鶴の世界』（1948年）、『善悪の彼岸』（1976年）、『西鶴新論』（1981年）、『日本人の愛と性』（1989年）などがあり、特に西鶴に関する研究は高く評価されています。また、現代語訳された『西鶴全集』や『西鶴』も著名で、彼の学問の深さを伝えています。

晩年まで精力的に研究と執筆を続けた暉峻康隆は、その業績を通じて日本文学の理解を深めただけでなく、その議論は今日にも影響を与えています。彼の学問的遺産は、後世に重く受け継がれていくことでしょう。

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