暗算

暗算とは

暗算（あんざん）とは、計算機や筆算、さらには珠算を用いることなく、頭の中で計算を行う技術のことです。この技術は、特に日常生活における数えや計算において役立ちます。

暗算の特徴

暗算と筆算との主な違いは計算プロセスにあります。暗算では、計算する際に数を口に出したり話したりすることが多く、数の位取りを明確に意識しなくても計算が進むことがあります。このため、位取りの原理や0の認識が筆算ほど強くないとされています。また、一般的な暗算方法以外にも、筆算や珠算の計算プロセスを頭の中で再現する「筆算式暗算」や「珠算式暗算」と呼ばれる方法も存在します。

さらに、詰将棋や詰碁を駒や石を動かさずに解く過程も暗算の一部として考えられています。これらの取り組みは、頭を使って計算する力を養うために有効です。

暗算の方法

簡単な暗算を行うには、四則演算の基本的な理解があれば特別な技術を必要としません。たとえば、次のような足し算を考えてみましょう。

362 + 547の場合、
1. 100の位を計算し、300と500を足して800。
2. 10の位を計算し、60と40を足して100。
3. 100の位の和800と10の位の和100を足して900。
4. 1の位を計算し、2と7を足して9。
5. 最後に900と9を足して909となります。

このように、位を分けて計算することが効率的です。

教育における暗算

算数教育においては、「暗算中心主義」と「筆算中心主義」に分けることができます。ドイツや旧ソ連の教育システムは暗算を重視していましたが、日本では1935年から国定教科書で暗算を主軸とした教育が導入されました。しかし、暗算に偏重した教育方法には批判もあったため、徐々に筆算中心の「水道方式」も提唱されるようになりました。

インドでは、掛け算の暗記を通じて基礎的な計算能力を身に付ける教育が行われており、これにより複雑な計算にも対応できる力が養われています。

筆算式暗算と珠算式暗算

筆算式暗算は、頭の中で筆算の計算過程を再現しながら計算を行います。例として356 + 872を挙げると、筆算を思い描きながら計算が進みます。

一方、珠算式暗算では、頭の中でそろばんのイメージを用いて計算を行います。この技術は、珠算の技術を習得していないとできませんが、熟練することでさらなる正確さとスピードを手に入れることが可能です。

近頃は、フラッシュ暗算と呼ばれる新たな手法にも注目が集まっています。これはコンピュータの画面に一瞬だけ表示された数字を素早くリズムよく計算する方法で、珠算式暗算の技術を応用しています。また、各種教育団体では、珠算と同様に暗算を評価する検定も行われています。

2011年には、「全日本珠算選手権大会」で、岩手県の教員が15個の3桁数字を1.77秒で正解し、ギネス世界記録に認定されるという快挙もありました。これは暗算の技術の高さを示すものであり、今後ますますその重要性が期待されています。

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