書き下ろし100冊

書き下ろし100冊

企画概要

講談社が、前身である大日本雄辯會の創立100周年（2009年12月17日）を記念して実施した、大規模な出版プロジェクトです。2008年11月から開始され、2011年1月までの期間にわたり、多様な書き下ろしの単行本が次々と刊行されました。

特徴と参加作家

本企画の最大の特徴は、文壇の第一線で活躍するベテランから、注目の若手まで、幅広い作家陣が集結した点にあります。作品のジャンルも多岐にわたり、小説、ノンフィクション、評論、児童書、絵本など、様々な分野の書き下ろし作品が含まれています。個々の作品には、企画全体を縛る特定のテーマやコンセプトは設けられず、各作家が自身のアイデアに基づき自由に創作しました。刊行された作品には、企画専用のロゴマークが付与されています。

刊行作品と成果

約2年3ヶ月にわたる期間中、当初目標の100冊を上回る、全106作品が刊行されました。この中には、文学賞を受賞するなど、高い評価を得た作品も含まれています。例えば、第22回山本周五郎賞を受賞した白石一文氏の小説『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』や、第44回吉川英治文学賞を受賞した重松清氏の小説『十字架』は、本企画から生まれた注目作です。

代表的な刊行作品としては、ノーベル文学賞作家である大江健三郎氏の『水死』、宮部みゆき氏の『小暮写眞館』、浅田次郎氏の『マンチュリアン・リポート』、北方謙三氏の『抱影』といった著名作家の長編小説のほか、井上章一氏による『伊勢神宮 魅惑の日本建築』や中島義道氏の『差別感情の哲学』のような刺激的な評論・ノンフィクション、いもとようこ氏、荒井良二氏、あべ弘士氏といった人気作家による絵本や児童書など、様々な読者の興味に応えるラインナップが揃いました。また、西尾維新氏の『難民探偵』のようなエンターテイメント作品、上遠野浩平氏の『私と悪魔の100の問答』のようなライトノベル系の作品、といった幅広い層を対象とした作品も含まれています。

企画の意義

「書き下ろし100冊」は、講談社が創業100周年を記念して実施した、出版史においても記憶されるべき一大プロジェクトです。これは、単なる記念事業にとどまらず、日本の出版文化の多様性を示すとともに、新たな才能を発掘し、多くの読者に質の高い「今」の作品を届ける試みとして大きな意義を持ちました。最終的に目標を達成し、それを上回る数の書き下ろし作品を世に送り出した本企画は、講談社の歴史に新たな一ページを刻む成功を収めたと言えるでしょう。

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