曹昂

曹昂（そう こう）

曹昂（? - 197年）は、後漢末期の武将。字は子脩（ししゅう）。父は曹操。

生涯

生母の劉夫人が早くに亡くなったため、曹操の正室である丁夫人に育てられました。20歳で孝廉に推挙されています。

197年、曹操は張繡の降伏を受け入れましたが、その際に張繡の叔父である張済の未亡人と密通しました。これを知った張繡が激怒し、曹操は張繡殺害を計画しますが、事前に察知した張繡が宛にいた曹操を奇襲します。

この時、曹昂は父を逃がすため、自分の馬を差し出しました（『三国志』魏書武帝紀注『世語』）。これにより曹操は無事に脱出できましたが、曹昂自身は張繡軍の攻撃を受け、曹安民や典韋らと共に戦死しました。享年20余歳。

曹昂の死を知った丁夫人は曹操を恨み、離縁して実家に戻りました。曹操は何度も謝罪しましたが、丁夫人の怒りは解けず、二度と曹操の元へ戻ることはありませんでした。丁夫人は後に亡くなり、許県の南に葬られました。

曹操は臨終の際、「もしあの世で子脩に会ったら、『私の母（丁夫人）はどうしているか』と聞かれるだろう。何と答えればよいのだろうか」と語ったと伝えられています。

魏の成立後、曹昂は豊公（ほうこう）に追封され、悼（とう）と諡（おくりな）されました。後に豊悼王、豊愍王と改められています。子がいなかったため、甥の曹琬（曹均の子）が後を継ぎました。

弟の曹丕（文帝）は即位後、「もし兄の子脩が生きていても限界があっただろうが、弟の倉舒（曹沖）が生きていたなら、私は天下を治めることはできなかっただろう」と語ったとされています。

曹昂の死は、曹操にとって大きな痛手であり、その後の人生に大きな影響を与えたと言えるでしょう。また、丁夫人との関係悪化は、曹操の家庭生活における苦悩を象徴する出来事となりました。

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