曹汝霖

曹汝霖（そう じょりん）について

曹汝霖は、清末民初における有名な政治家であり、特に北京政府において重要な役割を担った人物です。安徽派に寄り添う「新交通系」の主要な存在として知られています。彼の字は潤田です。曹は1890年代後半から政治活動を開始し、その後もさまざまな職務を歴任しました。

初期の活動と留学

曹は、漢陽鉄路学校を卒業後、1900年に日本へ留学しました。東京専門学校（後の早稲田大学）や法政大学で学び、立憲君主制を支持する思想を持つようになりました。1904年に帰国後、彼は進士の資格を取得し、商部の候補生となりました。翌年、袁世凱の側近として日本を訪れ、東三省に関する協約の締結に関与しました。その後、外務部に転任し、政治的キャリアを築いていきます。

政治家としての活躍

1911年には慶親王の皇族内閣で外務部副大臣に就任し、1913年には袁世凱から参議院議員に指名されます。その後、外交部次長に任命され、日本との対華21ヶ条要求に関する交渉にも参加しました。この時期は、曹が国内外の政治の中心にいる時期でもありましたが、袁世凱の死後、彼の立場は変化します。

1916年には段祺瑞内閣で交通総長に任命され、翌年には署理財政総長も兼任しました。この頃、曹は新交通系のリーダーとして重用されました。

五四運動と失脚

1919年、パリ講和会議では山東問題が焦点となり、曹は大総統に対し、日本の意向に沿った解決を勧告します。しかし、この姿勢は国民の間で激しい反発を受け、五四運動が勃発しました。曹は「売国奴」とされ、抗議活動に直面しました。結果として、6月10日に彼は職を辞任し、暴力的なデモの影響で彼の邸宅は焼き打ちされました。この動きは、彼の政治的キャリアに大きな影響を及ぼしました。

親日政権との関わり

曹は、その後も日本との関係を持ち続けました。東京が目論んだ傀儡政権の中心人物として一時擁立される可能性もありましたが、彼は断固として拒否しました。このため、日本側は曹に再三にわたって様々な地位を提案しましたが、彼はそのいずれも辞退しました。ただし、保身の観点から、臨時政府の最高顧問に就任することになります。1940年には華北政務委員会において中心的な役割を果たしましたが、次第に日本の影響力が強まる中で苦悩を続けました。

晩年と交友関係

日本敗戦後、曹は1945年に一時拘束されますが、後に無実が証明されます。その後、彼は国共内戦を経て帰郷し、最終的には1949年に台湾に逃れました。1950年には日本に亡命し、吉田茂の保護を受けながら新たな生活を始めます。

1966年にデトロイトで亡くなるまで、彼は多くの友人や知人に支えられながら、その波乱万丈の人生を全うしました。特に日本留学中に得た友人たちとの関係が、曹の人物像を形成する重要な要素となりました。彼の交友関係は、彼の政治家としての立場や、国際情勢にも影響を与えたと考えられています。

曹汝霖の生涯には、数々の波乱と困難が伴いましたが、彼はその中でも自身の信念を貫き、時代と向き合い続けました。

もう一度検索