曽田孝一郎

曽田 孝一郎（そだ こういちろう）は、1872年（明治5年）12月8日に生まれ、1947年（昭和22年）3月2日に没した日本の陸軍軍人です。最終的な階級は陸軍中将でした。

島根県松江市に、かつて松江藩の藩士であった曽田虎太郎の長男として誕生しました。幼少期から軍人の道を志した曽田は、厳格な教育を受けて育ちました。

軍歴の始まり

1894年（明治27年）7月、陸軍士官学校（第5期生）を卒業。同年9月には工兵科の少尉として陸軍に入りました。工兵科は、築城や架橋、通信など、技術的な専門知識を要する兵科です。さらに研鑽を積み、1902年（明治35年）11月には陸軍大学校（第16期生）を卒業。陸大卒業は、将来の幹部候補生としてのエリートコースであり、高度な戦略・戦術を学びました。卒業後は軍の中枢である参謀本部へ配属され、国家戦略の立案に関わりました。

日露戦争とその後の要職

日露戦争（1904年-1905年）が勃発すると、曽田少尉はこれに出征。満州軍の参謀などを務め、激戦地で実戦経験を積みました。戦後、その能力を評価され、1913年（大正2年）3月には母校である陸軍大学校の教官に就任し、後進の指導にあたります。

翌1914年（大正3年）1月には工兵大佐に昇進。同時に参謀本部通信課長に異動となり、軍の通信網構築や運用といった重要な分野の責任者としての任を担いました。1916年（大正5年）5月には近衛工兵大隊長に着任し、精鋭部隊の指揮を執りました。

将官への昇進と台湾での任務

1918年（大正7年）8月、陸軍少将に昇進。同月に台湾北部の重要拠点である基隆要塞司令官に着任しました。この要塞は、台湾の玄関口を守る戦略的な要衝でした。同年11月には、台湾総督府陸軍部の参謀長へ転補となります。

翌1919年（大正8年）8月、台湾の防衛体制が改編され、台湾総督府陸軍部が台湾軍となりますが、曽田少将は引き続きその初代参謀長を務め、台湾の防衛計画や軍事行動の中心的役割を担いました。1921年（大正10年）2月には、朝鮮半島南部の重要拠点である鎮海湾要塞司令官に任じられました。

中将昇進と退役

軍における技術部門の最高位ともいえる役職に就きます。1922年（大正11年）8月に日本の工兵部隊全体を統括する工兵監に転じました。そして、1923年（大正12年）8月には陸軍中将へと昇進し、その軍歴の頂点に達しました。

しかし、1926年（大正15年）3月には待命となり、その後、陸軍の予備役に編入されました。公務から一旦離れた形となりましたが、予備役編入から約2年後の1928年（昭和3年）に召集を受け、同年5月11日、留守第3師団の師団長に着任。これは、内地に残る師団を指揮する任務でした。しかし、同年11月には再び召集解除となり、軍務から完全に退きました。

栄典と晩年

曽田孝一郎は、その功績に対して複数の栄典を授与されています。位階としては、1905年（明治38年）4月7日に従六位、1918年（大正7年）9月20日には正五位に叙せられています。また、勲章等として、1940年（昭和15年）8月15日には紀元二千六百年祝典記念章を受けています。

軍を退いた後は静かに過ごし、1947年（昭和22年）3月2日に74歳でその生涯を閉じました。墓所は東京都内の寺町にある西福寺に営まれています。

もう一度検索