最も偉大なフィンランド人

最も偉大なフィンランド人：国民が選んだ歴史とユーモア

2004年、フィンランド国営放送は「最も偉大なフィンランド人（Suuret suomalaiset）」という人気投票番組を放送しました。これは、イギリスBBCの「100名の最も偉大な英国人」のスピンオフ企画として制作され、フィンランド国民が選んだ歴史上の偉人から現代の著名人まで、幅広い人物がランキング形式で紹介されました。

ランキング上位10名の顔ぶれ

ランキングの上位には、フィンランドの歴史に名を刻む重要な人物が名を連ねています。

1. カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム: フィンランド第6代大統領であり、元帥。104,244票（28.7%）を獲得し、圧倒的な支持を得て1位に輝きました。
2. リスト・リュティ: フィンランド第5代大統領。80,790票（22.2%）で2位となりました。
3. ウルホ・ケッコネン: フィンランド第8代大統領。57,456票（15.8%）を獲得し、3位にランクインしました。
4. アドルフ・エーンルート: フィンランド陸軍歩兵大将。27,477票（7.6%）で4位。
5. タルヤ・ハロネン: フィンランド第11代大統領。26,536票（7.3%）で5位。
6. アルヴォ・ユルッポ: 小児科医。22,136票（6.1%）で6位。
7. ミカエル・アグリコラ: 文学者、宗教改革者。15,974票（4.4%）で7位。
8. ジャン・シベリウス: 作曲家。15,397票（4.2%）で8位。
9. アレクシス・キヴィ: 文学者、劇作家。7,622票（2.1%）で9位。
10. エリアス・リョンロート: 文学者、言語学者。6,099票（1.7%）で10位。

上位10名は、政治家、軍人、文化人、学者など、多岐にわたる分野の偉人が選ばれ、フィンランド国民の尊敬を集める人物像が浮き彫りになりました。

ランキングのユーモラスな側面

しかし、このランキングには、単に歴史的な偉人を称えるだけでなく、国民のユーモアセンスが反映された興味深い側面もあります。

ランキングの11位以降には、以下のようなユニークな人物が選出されています。

マッチ・ニッカネン: 元スキージャンプ選手。国民的英雄ではありますが、過去に犯罪歴があることでも知られています。
ヴァイノ・ミュッリュリンネ: 身長251cmの巨人。フィンランド語で「偉大な」、「大きい」、「高い」が同じ単語で表されることを利用したジョークとして選ばれたと考えられています。
ヴィレ・ヴァロ: ゴシック・メタルバンドのボーカル。若者からの人気が反映されました。
ラッリ: 伝説上の人物で、ヘンリー司教を殺害したとされています。

これらの選出は、ランキングに対する皮肉や、番組タイトルである「suuret（偉大な）」を「suuri（大きい）」と解釈したユーモアと捉えることができます。

疑惑と不透明な順位

11位以下のランキングにユーモラスな人物が選ばれたことから、上位のランキングにユーモラスな人物が入りすぎないように、国営放送が投票操作を行ったのではないかという疑惑が持ち上がりました。国営放送側は疑惑を否定しましたが、11位以下の得票数を公表しなかったため、疑惑は払拭されませんでした。

まとめ

「最も偉大なフィンランド人」ランキングは、フィンランドの歴史や文化を象徴する人物たちと、国民のユーモアセンスが混ざり合った興味深い結果となりました。ランキングからは、国民が尊敬する人物像だけでなく、社会の多様性や複雑さも垣間見ることができます。この番組は、フィンランド国民にとって、自国の歴史や文化を再認識し、議論を深める良い機会になったと言えるでしょう。

参考文献:
Iso-Markku, Jaana (2004). Suuret suomalaiset. Otava. ISBN 951-1-19538-7
Suuret suomalaiset. Otava, Helsinki 2004. ISBN 951-1-19538-7

外部リンク:
* Suuret suomalaiset

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