最初のフランス公使宿館跡

最初のフランス公使宿館跡は、東京都港区三田4丁目の、通称「月の岬」と呼ばれる場所に位置しています。この地は、日本とフランスの外交関係の始まりを象徴する場所であり、その歴史を記念する石碑が、聖坂の上に位置する済海寺の境内にひっそりと佇んでいます。

1858年10月9日（安政5年旧暦9月3日）に、徳川幕府と第二帝政フランスの間で日仏修好通商条約が締結されました。この条約に基づき、1859年（安政6年）8月、この地にフランス公使宿館が設けられることとなりました。初代公使には、ギュスターヴ・デュシェーヌ・ド・ベルクールが任命され、日本に駐在しました。

宿館が置かれた「月の岬」は、当時、江戸湾を一望できる景勝地として知られていました。フランス政府は、この場所を宿館として選んだことで、日本との友好関係を深めようとする意図を示しました。

しかし、この宿館は、短期間でその役割を終えることになります。1862年（文久2年）に発生した生麦事件を契機に、フランス公使館は横浜に移転することになったのです。そのため、三田の宿館は、わずか3年ほどの間に初代公使ベルクールが滞在したのみで、その歴史に幕を閉じました。

現在、跡地には石碑が建てられており、その歴史を静かに物語っています。石碑は、済海寺の境内にあり、訪れる人は誰でも自由に見学することができます。この石碑は、日仏関係の初期の歴史を伝える貴重な遺産であり、両国の友好の象徴として大切にされています。

最初のフランス公使宿館跡は、華やかな外交の舞台であった時代から時を経て、静かな佇まいの史跡として、その存在を今に伝えています。この場所を訪れることで、幕末の激動の時代に、日本が世界に向けて開国を進めていった足跡を辿ることができるでしょう。また、異文化との出会いを通して、新たな価値観が生まれた歴史を垣間見ることができます。

石碑に刻まれた文字を読み、当時の人々の思いに触れることで、私たちは過去から学び、未来へと繋げていくことができるはずです。最初のフランス公使宿館跡は、単なる史跡としてだけでなく、歴史を学び、未来を考えるための貴重な場所として、これからも大切にされていくことでしょう。

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