最古客車

最古客車（さいこきゃくしゃ）

最古客車は、日本の鉄道が始まった頃に使用された客車の代名詞です。この客車は、日本の鉄道史において重要な役割を果たしており、特にそのデザインや機能が注目されています。最古客車は、1868年に新橋駅と横浜駅の間で初めて運行され、その後も多くの改良が施されつつ広がっていきました。

歴史的背景

1921年（大正10年）に発行された『日本鉄道史 上篇』において、最古客車についての詳細が記されており、明治5年に新橋工場と神戸工場でイギリスから輸入された客車が使用されていたことが記録されています。この客車は、全長15フィート、全幅6フィート6インチ、全高9フィート9インチで、定員は30人の三等客車でした。

1930年（昭和5年）に発行された『明治工業史 機械・建築篇』でも再び言及され、これまで長らく「最古客車図」の小型客車が、明治5年の新橋駅-横浜駅間での運航を基に「日本最古の客車」として位置付けられてきました。

しかし、1968年の調査により、最古客車図のタイプの多くが1874年に新たに運用された大阪-神戸間のものであることが判明しました。一方で、新橋駅-横浜駅間で実際に使用されていたのは、両端にオープンデッキを持つ形状の米国形の客車であることがわかりました。

復元と展示

その後、2018年にイギリスの技師ジョン・イングランドのひ孫により、大阪-神戸間で撮影された当時の写真が発見され、広島の武庫川橋梁を渡る客車の姿が確認され、この客車が阪神間で使用されていたことが裏付けられました。

最古客車の復元は、交通博物館にて1969年に正式に決定されましたが、資料が乏しい中、詳細な調査が行われました。その成果として、旧型の下等客車が縮尺モデル基に復元され、1970年8月に公に展示されました。

その後も、最古客車は各所で再現され、現在も鉄道博物館や交通科学博物館でその姿を見ることができます。近年、特に2020年には、青梅鉄道公園での中等客車の復元も話題となっています。各地での展示は、鉄道の初期化と、その技術的発展を語る貴重な証拠として重要視されています。

文化的意義

また、最古客車については、多くの文献でもその重要性が言及されるようになり、1893年にはフランシス・ヘンリー・トレビシックが著した著作に図面が採録されています。さらに、1914年には東京での博覧会の際に「我邦創業當時之客車」という絵ハガキが発行され、この客車のイメージが民間でも広がりました。

最古客車は、日本の鉄道史と共に歩んできた歴史的かつ文化的なシンボルであり、その復元や展示は当時の人々や鉄道の技術革新を後世に伝える貴重な機会となっています。

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