最後の晩餐 (ギルランダイオ)

ドメニコ・ギルランダイオの「最後の晩餐」について

『最後の晩餐』（さいごのばんさん、イタリア語: Ultima Cena）は、ルネサンス期のイタリアの画家ドメニコ・ギルランダイオが制作した壁画です。この作品は、フィレンツェ周辺の3カ所に点在している同一テーマの作品の中で見ることができます。それぞれの作品は、イエスと彼の12人の使徒たちが最後の晩餐を共にする場面を描いており、特にイスカリオテのユダが一人だけテーブルの手前に描かれている配置が特徴的です。この手法は、キリスト教の芸術作品において一般的な描かれ方となっており、当時の宗教的テーマを象徴しています。

ギルランダイオの『最後の晩餐』に影響を受けたと考えられているのが、レオナルド・ダ・ヴィンチです。ダ・ヴィンチは、ギルランダイオや同時代の画家たちの作品を基にしながらも、自己の作品によりドラマチックな表現を取り入れ、多くの感情を伝えようと試みました。こうしたアプローチに対して、美術史家のケネス・クラークは、ギルランダイオとペルジーノの画風が一般的な構図であることを批判し、レオナルドの独自性を高く評価しました。一方で、美術研究者の宮城徳也は、レオナルドの優れた点について異論の余地はないとしながらも、ギルランダイオの作品の独創性に対しても着目する重要性を論じています。

作品の詳細

バディア・パッシニャーノ教会の「最後の晩餐」

ギルランダイオが初めて手がけたとされるこの作品では、伝統的な構図に基づき使徒たちが一直線の長テーブルの向こう側に描写されています。その中で、イスカリオテのユダだけは手前側に配置され、観る者の視線を引きつけます。作品の構成には、アンドレア・デル・カスターニョの作品との共通点があり、その影響をうかがわせます。

オンニッサンティ教会の「最後の晩餐」

この壁画は、ギルランダイオの評価が高まり、他の画家たちと共にローマのシスティーナ礼拝堂の壁画に参加する計画があった時期に制作されました。修復作業中に食堂の左壁にギルランダイオの初期下書きが見つかり、その制作過程が明らかとなりました。

サン・マルコ教会の「最後の晩餐」

こちらの作品では、ギルランダイオがオンニッサンティ教会のフレスコと同じ構図を持ちつつ、やや小規模であることが指摘されています。フレスコ制作は、彼の兄弟や工房のメンバーに委託された可能性があるため、作品の完成度や微妙な違いが際立つ結果となりました。また、テーブルの両端に横向きに座る使徒が描かれており、ユダの手元にはパンが置かれていることから、裏切りの予言を暗示しています。これは特にサイゼリヤの店舗内装にも用いられ、広く知られることとなりました。

まとめ

ドメニコ・ギルランダイオの『最後の晩餐』は、ルネサンス芸術の中で重要な位置を占めており、その独自の構図や表現方法は多くの後世の作品に影響を与えました。画家たちがどのように宗教的テーマを視覚的に表現し、感情を引き出していったのかを知るための貴重な資料といえるでしょう。

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